閉店するイオンでWren and Cuff Tri-pie 70を買った話。

妻の実家の近くにはイオンがあるのだが、そこが2月一杯で閉店する。
開店から21年、リニューアルするための一時閉店だそうだが正面玄関には「21年間ありがとうございました」とお店からのメッセージが掲げられていたりこの21年の歴史を振り返ったり、ゴールまでひた走る感がありありと感じられる。
思えば、オープン当初はもっと店内にテナントも入っていたし今程閑散とはしていなかったように思う。僕は土日であっても適度な混み具合のここが好きだったし雰囲気も好きだった。だけとそれは僕の勝手な感想、来店者の少なさが店舗経営にダメージを与えているのはシャッター商店街の如くな店内を見ても明らかであった。

大学時代、講義をサボって先輩とここに遊びに行ったのもここ。滅多に話さないサークルの同期と珍しく長距離歩きながら遊びに行ったのもここ。大学生活終盤、お付き合いしていた(と僕が一方的に思い込んでいた)女性と休日デートに行ったのもここ。
妻の実家に行くついでに遊びに行ったし買い物にも行った。映画館も隣にあったので映画を観る前に買い出しにも行った。楽器屋が入っており中古エフェクターも取り扱っていたので最近は小物を買いがてら行く度に覗いていた。
閑散としたイオン、として有名だったようだけれども僕はこのイオンが好きだった。

閉店する前に何かしら買い物が出来たらなあ、と思っていたある日、最近では最早恒例となったインターネットでの中古楽器掘り(中古楽器を探す時は本当に便利ですねデジマート)で、ここの楽器屋に中古のファズが入荷したと知った。値段も手頃だったし、これはご縁だと思った。

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Wren and Cuff Creations Tri-Pie 70、試してみたら良かったし値段も「お、安い!」って感じだったので買ってしまった。
Wren and Cuff、前々から気になっていたのだよね。ビンテージのビッグマフを素晴らしい再現度で現代に甦らせてそれがクオリティが高くて評判のブランド。確かダイナソーJr.のJ・マスキスのシグネイチャーファズも出してたはず。
滅茶苦茶昔に友達とエフェクター持ち寄ってスタジオ入った時にここのファズを2、3台弾いてどれも良かった記憶もあったし、いつかは何か手に入れたいと思っていた。
「ビッグマフをエレクトリック・ベースギターにカマすならロシアンだろ、じゃあやっぱりWren and Cuff買うならTallfont Russianでは」みたいな思いはあったのだけど浅はかであった。Tri-Pie 70、これは全くベースで使っても問題ないのであった。

ビッグマフ系のペダルとしてはローゲインな印象がある。まとまりが良いのはWren and Cuffだからなのだろうか、このまとまりの良さが大変扱いやすい。音に芯も残るのだが、特にベースで扱いやすいと感じた点が「ローがそのまま出てくる」ようなところ。ローはモリモリ出る。そしてこれは感覚的な物言いになるのだがローは歪まずにそのまま通されているようなそんな印象。高域だけ歪んでローミッド辺りからは割とクリアというか、ふくよかなローが心地良い。バリバリ!ビヂィ!ブシャァァァッ!と歪むところは流石ビッグマフ。
なんだろ、ブレンダーを通したり後段にEQ通して補正したり、そういう工夫がなくてもそのまま「ガツンといきたい時の必殺技」がわりに踏んで期待通りの圧倒感を出してくれるファズってこんなに有難いのねって感じ。セッティングもかつてここまで迷わずに各コントロールの(自分にとっての)最適解が見つかっただろうか、というくらい早く定まった。制御出来ないくらいのやべぇファズ、ではないけれどもアンサンブルを破綻させずに暴れられるファズである。

これを使った事でWren and Cuffのペダルをもっと試してみたくなったのと、ビッグマフ系のペダルも色々なものを試してみたくなってしまって舟橋は只今現在、戦々恐々としている次第。

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