僕は割と入れ込み出すと止まらないタイプだ。
気に入った銭湯、サウナは毎週のように通うし一度食べて「美味しい!」と思ったメニューは次回からも同じものを頼む。人と会いたいなと思った時に声をかけようと思い浮かぶ顔もそんなに多くはないし、それこそ同じ楽器を10年以上使い続けているし。一つの物事に執着するし、まあ要するにあまり開拓精神に溢れているわけではない。同じところに留まり続けるわけでもないけれど、物事に対する愛着はそれなりにきっちりと持ち合わせているというわけだ。
そんな僕が最近滅法参ってしまっているエフェクターブランドがEarthQuakerDevices(以下、EQD)。
輸入代理店がYAMAHAさんに代わり、中尾憲太郎さんがエンドーサーになって同ブランドのエフェクターをベースでガンガン使って布教活動を行うようになってから一気に認知されるようになった印象だ。いや、その前からきっと好事家達は知っていたのだろうけれど。僕みたいなライト層までその名を知るようになったのはこの数年の事ではないだろうか。そう思うと同社のエンドーサーの顔ぶれ(Juan Aldereteさんもその名を連ねる)っていうのはもう、どストライクだったわけだなあ、俺。
僕がEQDのペダルで最初に手に入れたのがこのブランドが有名になるきっかけとなったhoofファズで、その次に確かRainbow Machine、その次にPlumes。あ、違った、hoofの前にAfterneathを手に入れたのだった。当時求めているリバーブと違ったので手放してしまったけれど。
兎に角、ファズから始まりそれなりに折に触れては手に入れてきた。割と気に入ったブランドのペダルはあれやこれや買っているのだけど、EQDのペダルは中古で出回っても割とすぐに次のオーナーが見つかる印象があるのでタイミングが合わないとなかなか購入出来ない。その点、僕は割とご縁に恵まれていると思う。
どうしてEQDのペダルに執心しているかというとまず何より最初に「音が良い」し「音が面白い」。結果的に今は手元にないけれどAfterneathにしてももうこのペダルじゃないと出ない音というか、大変独創的な音がした。Rainbow Machineも個性の塊みたいな音が出る。そしていずれにしてもコントロールの幅があるというか、使い手の発想次第で堅実な音から遊び心に溢れた音まで非常に守備範囲が広く、そのいずれもが「音楽的」な音がしている。エレクトリックベースギターで使用した場合もどこか原音感があるというか、どれだけぶっ飛んだ音にしてもどこかにちゃんとドライシグナルの気配を感じられるからこそ「音楽的」なんだろうなと思う。
そんなEQDのペダルだけれど、最近また買ってしまったのであった。
EarthQuakerDevices Disaster Transport。モジュレーションディレイである。
先日、中古エフェクター専門店の配信用の動画にゲスト出演した後で、つい安く出ていたので「こりゃあ俺が連れて帰らんと」と購入。
Disaster Transportは現行のモデル(Disaster Transport SR)と随分違う。スイッチが3つついているSRに対してこのモデルは2つ。エフェクターのオン/オフとモジュレーションのオン/オフ。
SRにはタップテンポも搭載されているらしいが、僕はディレイでそういうきっちりテンポを合わせたい時は他のペダルを使うので特に問題なし。いや、勿論滅茶苦茶便利なんだろうけどね、タップテンポ。でもこのサイズでスイッチ二つっていうのが気軽に持ち運び出来てとても良い。
ディレイセクションだけ見るとRepeat、Time、Mixと基本的なコントロールに加えてディレイ音にだけ効くToneが搭載されている。これ、最初は「なんで地味な効き具合!」だなんて思ったけれどもアンサンブル中でディレイ音含めて馴染み具合をコントロール出来るので結構便利。
個別にオン/オフ出来るモジュレーション部はRateとDepth。Rateコントロールに反応してLEDが点滅してくれるので見た目でもわかりやすい。Depthはフルにしても変にピッチシフトしたりしない、割と自然な不自然さ(微妙な表現だな、伝わるかな)。試奏した時はもっと過激な揺れ具合を期待して「えっ!この程度!」と思ってしまったのだけど実際使うとなるとDepth12時でも十分モジュレーション具合が際立って、美しい。いや失礼しました、実に良い具合のモジュレーション。重ねて言うけど、美しい音である。ライブでも使ったのだが僕の好きなデチューン感がディレイ音に重なって響いていく様はとても綺麗で、でもただただ美しいだけじゃなくどことなく不穏で、ああ最高だなと思った。その絶妙なモジュレーション具合といい、トーンでアンサンブルの中での座り具合を決められる所といい、大変優秀で使いでがあるモジュレーションディレイだなと思った。
買ったその日に嬉しくてSNSに投稿したら前オーナーは知人のバンドマンだった。彼も同じモデルを気に入っていて何度か買い直しているらしく、その中の一台だそう。塗装の剥げ具合といい、愛用されていた事がよくわかる。
今後は僕が使い込んでいこうと思う。
コメント