オーバードライブの沼 その2.EarthQuakerDevices Plumes

2019年12月頃は完全にオーバードライブにハマっていて、というかオーバードライブの沼の中にいてあれも試したいこれも試したい、いややはり手持ちのこれが良いのでは、みたいな試行錯誤の只中にいた。

これは時折訪れる発作のようなもので、今回はオーバードライブだったが時にはファズだし時にはリバーブだし時にはディレイだったり、その時々で自分の中で突き詰めたい音色というのは違っている。発作と書いたけれどもこれは決して悪い事ではないと自分では思っていて、追求したいという事はその時に使用頻度の高い音色について凝っているわけで、沼にハマる度に見識を広くしたり深くしたりして沼から脱出するわけだからまあ成長しているという事になるわけだし、経済的にダメージを負い得る事だけが考えものである。

オーバードライブの沼は、その経済的なダメージが大きくなりそうな予感があった。
手持ちであったOCDは悪いものではなく操作性がフレキシブルでない(特にボリュームコントロールに顕著である)というそれだけが気に入らない点であり、数あるバージョンのOCD、他のバージョンはどうなのかと気になっていた。
購入したDOD Overdrive Preamp250はボリュームコントロールとゲインコントロールは緩やかで狙った音色にアクセスしやすいが、ゲインを上げれば上げる程に高域もせり出してくるような歪み方をするので音色としては限定的である(=良くない、では決してない。念のため)感が否めなかった。
いかん、こりゃあ今回は長尻になりそうだ、と思った。だがしかし時間と金は有限だしそれよりも歪ませる度に「何か違うんだよなぁ」と思うのはストレスが溜まる。どうせなら早いとこ納得いく音色を実現して思い切り演奏に集中したい。

色々と情報を探し求めた結果、2019年に発売されたばかりで好事家達の間で話題になったEarthQuakerDevicesのPlumesはなかなか良さそうだ、と行き着いた。
TS系をメーカーなりの解釈で発展させたペダルであるという触れ込みだがギタリストのみならずベーシストからも定評あるペダルだ。TS系というとかつてチューブスクリーマーをメイン機にしていた時期もあったので印象は悪くない。あとEQDというブランドはギター用やらベース用やら用途を限定しておらず、それを裏付けるようにレンジが広い印象がある。

というわけで最近エフェクターについて相談に乗って貰っているペダルギークが働く楽器屋へ出掛けて行った。
このお店、店名は伏せるけれどもかつては(とは言ってもずっと前だが)割と普遍的な品揃えだった、というかはっきり言ってしまうとまあ無難というかそういう感じのペダルコーナーだったのだが、ある日を境に少しずつ品揃えが変わっていった。「ああ、これは好きな人が入社されたんだな」と見ているとやはりそうで、後に親しくなるベーシスト氏が色々と趣味と実益を兼ねて品揃えをテコ入れしていたようだ。
「こりゃあ楽しいわい」と定期的に覗くようになっていたのだが、これまたある日を境にみるみるうちにインディペンデントなガレージメーカーやらノイジシャン御用達みたいなぶっ飛び系が棚に並ぶようになった。それまでもそういう傾向はあったものの明らかにタガが外れたような品揃えになっていったのでおやおやこれはどうしたんだと見守っているうちにかつて某店でお世話になっていた店員さんに再会したのだった。彼の顔を見た瞬間に納得したのだ、「成る程、だからか」と。話すとやはひ品揃えには彼の意向が反映されているという。

話が逸れたが、そんな店員氏に連絡をしてPlumes、弾きに出掛けた。
試奏の準備をして頂きながら話をしているとPlumes、滅茶苦茶売れてるらしい。やはりEQDの中でも売れ筋の商品なのだ。
音を出してみたところやっぱりというか納得の良い音。妻に事前に承認は取ってある、購入。

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スタジオにクリスマスイブに個人練習で入って大きな音で鳴らしたり(イブだったけど結構な人数の知人に会った。皆ストイック)練習に持ち込んでアンサンブル中で鳴らしたりライブで使ってみたりした結果、うん、やっぱりこれ、素晴らしいオーバードライブペダルだ。
コントロールこそLEVELにTONEにGAINとシンプルだけど、クリッピングモードの切替(LEDクリッピング、クリッピングなし、シリコンクリッピングの3モード)によって幅広く音作りを楽しめるようになっている。それぞれのモードでボリューム感も歪み方も変わってくるのだが共通した印象はレンジの広さ。
あとこれは他のEQDペダルにも感じるのだけどエフェクトオンにしてもどこか原音感が残るというか、破綻した音にならない。TONEにしてもフルアップしてもローエンドが聴こえてくるというか、残っている。勿論、左に振り切った方がわかりやすく低域が主張してくるけれどもこれはペダルのチューニングが凄く良いあんばいにされているのだろうな、と思った。僕は今のところLEDクリッピングのモードを気に入って使っているのだけど、TONEはどの辺りにしてもローエンドが感じられるのでアタックをどの辺に持ってくるのか、みたいな気分でTONEツマミを触っている。強く弾いた時に歪む、みたいに手元のニュアンスもしっかり出してくれるしこれは本当に優秀なオーバードライブですよ。何より弾いてて楽しい。

Plumesのお陰で現状の使用用途では納得いく音が出せている。
いやー、このペダル、ストレスないなぁ。

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