11月になった。
職場は所謂繁忙期を迎え、普段よりも少し活気付いている。
少し前まで暑い暑いと言っていたような気もするが朝方と夜は冷え込むようになった。ひいた風邪がなかなか治らない(けれどもテンションは高い)娘は鼻水を垂らしているので定期的に吸いあげて呼吸を少しでも楽になるように手助けする必要がある。少し奮発して購入した(調査と推薦には妻の尽力があった事を記しておかなければなるまい)電動鼻水吸い取り機は大活躍している。唸りを上げるモーターの駆動音を耳にすると娘は条件反射か泣くようになったけれども、その後の様子を見ていると実際呼吸が楽なようなので本人のためにもなっているのだろう。電動鼻水吸い取り機は子育ての三種の神器に入れても良い、とは多数の父母がレビュー中で言っているけれども我が家もそれに大賛成だ。
11月は鈴木実貴子ズのサポートで遠征が2本、そしてレコーディングも始まるという事でここ最近の毎週末は鈴木実貴子ズでの練習で集まっている。健康的な時間に集まっては練り上げていく作業を繰り返しているのだが、やはりこういう行為は楽しい。
いや実際のところ産みの苦しみを味わっているであろう二人に関しては楽しいばかりでもないだろう。
曲を作るという行為はアウトプットするという事以上に神経を研ぎ澄ませたり擦り減らしたりする行為でもあるのだろうな、とは色々な作曲家、作詞家と一緒に行動してきたので流石の僕でもわかる。正直に言ってしまうと鈴木実貴子ズは僕が過去に関わった人達の中でもかなりハイペースで新曲を作るバンドなのだけれど、だからと言って気楽に曲を作っている気配なんて微塵もなく、「ではこの曲をバンドでアレンジしましょう」と挙げられる曲はきっと僕達の前で披露される前に二人が多くの時間と情熱を注いで精査してきたものであるはずで、更には二人からの信頼も感じるのでサポートチームはそれはそれは気張るのだ。特に各務君は僕以上にアレンジという作業に時間とクリエイティビティを注ぎ込んでいる。
僕がサボっているとかではないしましてや苦労知らずの天才肌ってわけでもない。まずギターパートのアレンジを練り、同時に関わる場所のベースアレンジの全体像を考えねばならない、考えてしまう各務君と違い、自分の担当パートだけ、自分の演奏だけに注力していられるのは僕くらいなもんだろう、という事だ。申し訳ないな、という気持ちと有難いという気持ち、そして同時にだからこその責任も感じる立場である。
大前提、そこには喜びがあるのだが。
話が少しだけ脇道に逸れる事をお許し頂きたい。これは必要な回り道であるからしてどうかご容赦の程を。
僕は料理をする際には調味料をドカッと入れる方だ。粉末出汁なんかもドサッと入れる。味は濃い方が美味い、甘い方が嬉しい、しょっぱい方が食べ応えがある、だなんて割と本気で思っている。レシピ通りに作ったとしても味見の時に「うーん何か足りない」と調味料を足してしまう。ラーメン屋でも基本は「多め、濃いめ、固め」だ。
勿論時には入れ過ぎて調節のため水なんかを入れたりして結果的に量が増えるなんて事もある。それでもやっぱりドサッといってしまうもんだからこれはもう性分なのだろう。
はい話が戻りますよ、料理だけではなくて音作りでも僕はこの傾向があってエフェクトなんかはわかりやす過ぎる程に濃い目にかけたりしている。
どうせ音が変わるのだからそれと一発でわかる方が良いに決まっている。だからエフェクトも盛大にかける。
のだが、練習の時にリバーブ具合を鈴木さんと各務君に「もっと少な目」「もうちょっと!」「あ、減らし過ぎ」だなんて横から客観的な意見を貰いつつ調節したところこれが大変気持ちが良い音になった。音に奥行きがあり、広がりがあり、何よりアンサンブルの中で主張し過ぎず、色気もある。
微調整は大事だねって話。
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