12年の時を経てAMPEG SCRAMBLERのクローンペダルの備忘録を書く。

ペダル製作ワークショップに手伝いで参加した(→初回2回目3回目)成果か、オクターブファズの自作キットを自力で組んで音が出るゾ!というくらいには工作スキルも(そして精神力も)向上した。
しかし忘れはしまい、人生で初めての自作エフェクターへの挑戦は惨敗に終わったのだった。挑戦したキットはAMPEGのSCRAMBLER(近年は同じ名前のオーバードライブが出ているけれども今回の場合はオクターブファズである)で、どうせ自作キットなのだから音が出るくらいには完成出来るに違いないと浮かれきっていた僕は百円均一でケースにしようと金属製のタッパーまで購入したのだった。当時の日記にも書いてあるけれども、僕は盛大なミスを犯した。部品だけ差し込んで半田付けすれば良いプリント基板ではなく、部品と部品を配線しなければならないユニバーサル基板を発注してしまっていたのだった。ひるみつつも勇猛果敢に挑んだものの、惨敗。
しかしどうにもAMPEG SCRAMBLERへの想いを断ち切れずに凄腕の個人製作家に発注した(何故かオリジナルのAMPEG SCRAMBLERを買おう!とはならなかった。当時はまだリイシューも出ていたように記憶しているのだが)のが今回の備忘録の主人公である。


工房eggman Scramble Edge₊である。
自分の中ではSCRAMBLERの自作失敗からそれなりの時を経て注文依頼した記憶があるのだけれども、今回の備忘録を書くにあたってふと思い立って裏蓋を開けてみたところ、正確な時期がわかった。


2012年2月26日に完成しているので、発注はそれ以前、ともすると自作失敗の直後に工房eggmanさんに依頼していたのではないだろうか。当時の僕、余程悔しかったんだろうなあ…。
さて、工房eggmanさんはインターネットを徘徊していてたまたま見かけた製作家の方である。
12年前に作って頂いたペダルの裏蓋を2024年の今現在開けてみて、その丁寧な作業と仕上がりに感動した。


ペダルを数個作っただけだけれども、12年前の自分には感じられない丁寧さと作業の正確さがビンビンに伝わってくる。
インターネットでブログに辿り着いた見ず知らずの男の依頼に、ここまで丁寧に取り組んで下さって改めて感謝である。
これは余談だけれども工房eggmanさん、もう活動してらっしゃらないかなと検索したところ、なんと2024年現在もwebが更新されている。当時はもっと違うブログ形式だったと記憶しているけれども活動を同じ屋号で継続していらっしゃる事に驚きと同時に嬉しさを感じた。12年間の間、相当数の製作や修理を行われたのだろう。12年は短いようで長い。感動した。

ちなみにScramble Edge₊は今でこそシールもコントロール表記も何もないけれども、完成当時は各ツマミにコントロール名とペダル名がシールで張られていた。使っている間に剥がれてしまったのだった。当時の日記にその時の状態と「詳しい感想はまた日記に書こう」という旨が書いてある。
12年以上もの時が経ってしまった。改めてScramble Edge₊の感想について備忘録を書こうと思う。

まず上の2つのコントロールはAMPEG SCRAMBLERと同じ『Blend=原音とエフェクト音のブレンドコントロール』、『Texture=アッパーオクターブ量のコントロール』である。
下段のCrackleについて。実はこのペダル、回路的にAMPEG SCRAMBLERからそのままZ-VexのSuper Hard Onに内部で繋がるような回路構成になっており、いわば2コ1ペダル。増幅方向に効くボリュームが欲しいなと考えた当時の僕はSCRAMBLERの後段にSuper Hard Onというブースターを仕込む事によって疑似的なボリュームにしようと考えたのであった。

当時も気に入ってライブ等で使っていた記憶があるのだが、今弾いてみても非常に明瞭でキャッチーなオクターブファズペダルである。歪みのキャラクターはバッキバキmeetsビンビンブヂブヂ、実に強力なファズである。
改めて弾いてみて面白いなと思ったのはBlendコントロール。強力無比なファズシグナルに対して誠実なBlendコントロールを搭載すれば万能的に良いペダル!になると考えがちだろうけれどもさにあらず。
Blendコントロールはバイパス時と全く遜色ないドライシグナルとファズシグナルのブレンドコントロールではあるのだが、不思議とファズシグナルを多めに混ぜていった方が低域の前にせり出し方含めて存在感のある音になるのである。
限りなくドライ寄りかフルアップ!くらい極端なセッティングの方が格好良い音になるのが面白い。
最近一番気に入っているこのペダルもそうなんだけれども、格好良いベースファズってブレンドコントロールで低域を担保しようみたいな発想は作り手から感じられない。むしろそこの挙動というか、混ぜた結果も個性的なペダルの方がアンサンブル中で活きるように感じている。
Super Hard On部のブースト具合は言うまでもなく強力。今日の備忘録に添付した写真は各ツマミがお気に入りのセッティングになっているのだが、Super Hard On部は時計の8時くらい。これでも結構爆音気味にブーストしてくれている。
改めて、良いペダルである。