この画像はインターネットの海の中から拾い上げたTera Melosのベーシスト nathan latona氏が2011年頃に使っていたとされるペダルボードだ。
僕はこの画像をequipboard.comという素晴らしいwebサイト(このアーティストは何を使っているのか、そしてこの機材は誰が使っているのか、をまとめた素晴らしいサイトだ)から発見したのだが、この頃nathan latona氏のプリアンプはまだサンズアンプだし(最近はrusty box)、トレモロもEarthQuaker DevicesのHummingbird(最近はBOSS PN-2。余談だがHummingbird、岐阜の楽器屋にて旧モデルが中古で大変手頃な値段で売られていた。遠くないうちに買いに行こうと思っていたら売れてしまった。残念)である。そして後にOD-20(ギタリストでさえ使用者は珍しいのにベーシストだとnathan latona氏くらいしか世界中で使っていなかったのではなかろうか)になり、その後はbit commanderにその役割を譲ったのであろうMXR Blue Boxがサンズアンプの直前に繋がれている。
MXR Blue Box。
今日の日記は最近購入したBlue Boxについてだ。
楽器愛好家なら経験があるかもしれないが、一度手放した機材でも心に残り続ける楽器というのは一定数、存在する。
こちらの音の嗜好が変わらずとも「あ、あれはやっぱり気になるな」と心にずっと居座るブツというのは存在するし、現実的には音の嗜好も自分が出す音も自分のシステムも変わるものだから「手放したけどあれ、今の自分の好み(or音orシステム)なら合うんじゃなかろうか」とか考えてしまって『気になる機材』から『買い直す必要が出てくる機材』にクラスチェンジしてしまうのである。
何度もそういう経験をしたものだから「もう機材は手放さない」と心に決めているのだが、昔お金に困って手放してしまったあれやら飽きたので手放したこれとか、本当当時の俺は何考えてたんだ馬鹿野郎と言いたくなる。
MXR Blue Boxは過去に所有していたのではなく友人から借りて試した事があった。
当時の日記を読み返すと結構酷評気味の感想が書かれているのだが、過去の自分、しかも相当昔の自分なんて信用出来るはずもなく(では何故わざわざ感想を日記に書きつけるのかというと、どんどんと上書きしていく事自体に意味があると考えるからだ)、ふっとこの飛び道具気味のペダルの事を思い返して気になったのであった。
なんとなくインターネット検索してみると、昔試した時よりもインターネットにはこのペダルの情報が漂っていたし、割と世界のベーシストはこのペダルを好意的に捉えているようであった。
行きつけの中古ペダル屋にこれが大変手頃な値段で売られているのは棚を眺めて知っていたし、丁度遊ばなくなったゲームソフトを売ってこれを買う足しになるくらいの小金が手に入った。妻の説得材料は揃った。
僕は再びBlue Boxに向き合う事にした。今度こそは、仲良くなれるんじゃないかと期待しながら。
実際にペダルを手に入れる前から海外のフォーラム等見ていると、どうもBlue Boxに大変簡単なC11modという改造を施すオーナーも少なくないらしい。C11という場所についているコンデンサーを外すだけの簡単な改造ながら、フィルターの役割を担うそのコンデンサーを外す事で音抜けと音量が改善されるという効果があるそうだ。
これはちょっと気になる。
実際にベースに繋いで改めて弾いてみると音自体は面白く、昔弾いた時は「使うシチュエーションが限定的である」と感じたその出音もいや結構良い感じなんじゃないのと思われた。当時よりもストライクゾーンが広くなったのかもしれない。
OUTPUTとBLENDという素っ気ない2つのコントロールながら、歪みに2オクターブ下の音を混ぜていくという独特な挙動のBLENDコントロールが面白い。反時計回りで2オクターブ下が混ざってくるのだが、フルアップした時(つまり2オクターブ下を混ぜない)も独特の響きが感じられるファズサウンドで格好良い。
だけどどうせなら2オクターブ下も混ぜてグッシャングシャンの、トラッキングをミスって馬鹿みたいに音痴になった重低音が混ざったファズサウンドを楽しみたい。BLENDの位置が3時くらいからもう割と2オクターブ下は存在感を出してくる。12時でかなりの圧迫感が感じられる程だ。
だがいかんせん、OUTPUTをフルアップしてもようやくバイパス時の音量と同じ程度かどうかというところ。
使い倒すならもっと音量が欲しいところだ。これはC11modを試す他あるまいて。
筐体の裏蓋を開け、つまみやジャックを緩めていくと呆気なく筐体から基盤が外れた。
基盤のプリントからC11を探す。すぐに見つかったが、おや。おやおや。
C11には基盤の表からも裏からもコンデンサーが半田付けされている。デフォルトでこういう仕様になったのかそれとも前オーナーが改造したのか。
もし後者だとしたら細やかな人だったのだろう、丁寧な作業が施されていると感じられた。
だがしかし、無慈悲に半田をあててコンデンサーを外していく。外したコンデンサーは一応保管し、筐体に戻す前に音が出るかチェックをする。問題なし。C11modはほんとうに簡単だった。3分くらいで終わったんじゃなかろうか。
基盤を筐体に仕舞い、ジャック等をきちんと締める。元通りに戻して再び音を出す。
変わった、かな?という程度ではあるが確かに音量が上がり音のレンジが上に広がった感がある。
C11modは成功と言っていいだろう。購入時についていたコンデンサーが既にmodして付けられたものである可能性も大いにあるけれど。
爆音でノイズの壁を作る、とかそういう用途だと後段にブースターとか繋いでブーストする必要がありそうだけれど、Blue Boxにはそこまでしてでも使いたくなる不思議な魅力がある。