最近、とみに脳内補完の頻度が上がっている。
理路整然と物事を考えて納得したつもりが虚構の上で踊っているのだ。
ザマァナイネェ。
アァァラヨット。ってな具合にそれを口にしてはみるものの、物の見事に現実とはかけ離れている。
現実ばかりが鮮明で 悲しい事のみ多いのに
虚構の世界の住人は なかなか顔を出しちゃくれない
思わず歌を詠んでしまう程だ。毎年夏になると冷静と激情の間が曖昧になる。フラリフラリと漂うような幻想的な感覚を日々享受するのみだ。
そんな時は読書に限る。夢野久作を読んでいるのだが、なかなかに凄まじい。
乱歩より華やかでなく、横溝ほどおどろおどろしくない。
酷く現実じみているのだ。「ああ、わかるかもしれん」と思わされるような不条理。人間の心の屈折に入り込んだ事のある人間ならわかり得るであろう心象が行間から漂ってくる。淡々として、その実もっと淡々とした印象。
わからない人間にはわからないが、わかる人間は虜にされるであろう短編集。
『ドグラマグラ』とは「読んだ人間は必ず精神に異常をきたす」と云う日本文学史上に名を残す奇書であるが、昨晩それを手に取りかけて、やめた。
強過ぎるだろう、まだ。
メッタクソになりたくなったら読むがいいよ。
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