机の引き出しの中はほぼデッドスペース。滅多な事がない限り開いたりしないし中身がなんなのかさえもわからない。
「そういえばCDが沢山入っていたなー」と思って引き出してみると、大量のCDの中から真っ先に目に飛び込んできたのは一枚のDVD-R。
手書きのラベルによると昔やっていたバンドのライブDVDらしい。
僕は懐古趣味があるから今夜、観てみた。どんな内容なのかも定かじゃないままパソコンに入れて再生してみると、存在さえも忘れかけていた宣伝用のDVDだった。アルバムを制作直後に全国流通という一つの野心を叶えんと50社くらいかな、様々なインディーズレーベルにアルバムのサンプルとライブDVDをアポなしで送りつけた事がある。その時のものだった。
DVDには自分達がどんな活動を重ねてきたか様々な観点からわかって貰えるように、普通の演奏と当時やっていた演劇形式のライブ一本全編が収録されていた。今こうしてブログを書きながら思い出したくらいだから相当前のものだ。
演劇形式のライブを丸々観てみたのだけど、手前味噌ながら面白かった。日本兵の若者三人が大戦中のニューギニア戦線に送り出されて、という話だったのだけど、丁度当時の僕達なりに演奏と演劇形式のバランスがとれていた頃のもので今だからこそ粗も目立つしやりようは他にもあっただろうに、とも思うが随分と思いきった事をやったものだ。
パソコンのモニターの中の自分は日本兵の扮装をしてベースギターを振り回している。暴れればいい、みたいな演奏に今より過剰な、だけれども効果的なペダルの使い方。過去の自分を省みて今現在の自分に確信を持つ部分とまだまだだな、という部分を感じた。
一演奏者としてだけではなく、ものを作る人間としても思うところがあったりして実に有意義な、それは過去の自分から今現在の自分への挑戦状と言ったら大袈裟かな、だけれども奮い立つものがあったのは事実である。
2013年現在、バンド解散後、ギターヴォーカルは実家で療養中、バンド活動なんてとんでもない状況で、だけれども曲は作っているらしい。リードギターは練習で週に一度は会う。今の方が格好良い。ドラマーはこないだ野外フェスで久しぶりに演奏を観たけれど相変わらず練習せずとも格好良いドラムを叩く。人前に出る事はほとわどないが。
元バンドメンバーというのは不思議な関係だ。現メンバー、とも違うし赤の他人とは全く違う。それはもう「元バンドメンバー」という関係でしか言い表せない不思議な関係だ。
やりたくなったらまたやろう、ただし満場一致でやりたくなったら、という事だけ決めて解散したけれども全員細い線ながらも未だに線が途絶えていないのは有難い話。
現状やれる予感は皆無だし自分がいざその時になったらやりたいかどうかさえもわからないけれども。
まあ、そこをあてにしていちゃ話が違うしね。
僕は僕で環境の変化こそあれどあの頃より今の方が面白い事がやれるという自負があるし、当時とやっている事こそ端から見たら違うかもしれないが打ち込んで活動しているバンドがある。これはシンプルに嬉しい事だ。昔は俺も、とか昔は良かった、だなんてどれだけ駄目になっても言うつもりはないし言わないような人間であるつもりだ。
ただね、君達。
たまには四人でゆっくり遊びたいものだねえ。
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