暑い夏がやってきた。

気付いたらなんとなく夏だった。

とか言ってる場合じゃないくらい、というかなんとなくってレベルではないくらいに夏らしい夏が物凄い暑さを伴ってやって来た。夏は暑く冬は寒いと定評がある名古屋だが、ああ、そうなんだよ、本当に夏は暑いんだ。クールビズとは言っても肌着にシャツを着て地下鉄とバスを乗り継いで出勤するだけで汗だくになる。休憩室でクーラーの風速を全開にし、冷風が直接体に当たるように風向を調節して一息つくのが毎日のように続いている。大体、季節の変わり目は温度の変化に体がついていかず(というか室温の調節が極端にしがちなので)風邪を引くのだがそういえば今年の夏はまだ風邪を引いていない。

8月4日は最近では久しぶりではなかろうか、一日の間に二つの現場でライブをした。
定期的に声をかけてくれるので最早通年で手伝わせて貰っている状態(ここを読んで下さっている方の中には頷いて貰えるであろう方もいるかと思うけれど、格好良い音楽の手伝いは最高の贅沢の一つである)の鈴木実貴子ズ鈴木実貴子ズ鈴木実貴子ズだが、この日は可児市文化創造センターにて開催されるROCK FILL JAM2019と、新栄CLUB ROCK’N’ROLLにてTHE ZUTAZUTAZの企画に出演。鈴木実貴子ズと一緒に名古屋→可児→名古屋と移動しつつ演奏を行った。
ROCK FILL JAM2019、去年の2018もスタッフの皆さんの情熱が結実したステージでその行き届いた心配りに出演者の一人として大変感動したものだが、今年鈴木実貴子ズが演奏したMATSURIステージ、ちょっと、いや相当に凄かった。
ステージの上にやぐらが組んであろうとは誰が思うだろうか。前日にSNSでステージの様子が流れてきた時は思わず目を疑ったもの。

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こういうステージでの演奏は大半楽しいものだ。音の良し悪しとは別次元で、ワクワクするしきっとそういうのは演奏にも精度と集中力とクリエイティビティとして反映されるはずだ。
この日の演奏はここ最近では一番モチベーションと演奏する肉体が結びついた感じがあって弾きながらその自分が自分としてちゃんと機能している感じに思わずニタニタと笑みが浮かぶのを隠す事が出来なかった。ピッキングは自分の感情と直結し、当然出音も納得のいくものでリズムと自分の関わりが明瞭に感じられる。ピッキングダイナミクスを通じて世界を眺めるのは大いに楽しい事だ。
楽器の位置をかつての高さに戻したのは関係なくはないだろう。自分の体と楽器が離れすぎていてもいけないし、近過ぎてもいけない。最高の距離感で楽器と関われる距離感を取り戻した実感がある。
鈴木実貴子ズのサポートでの演奏は、相応の数を踏まえているはずだが実はただの一度も演奏中にメンバーと目があった事はない。視線のやり取りはそこにはない。意識が向く事さえあるかどうかは怪しい。各々が各々で曲に向き合う事で一つの事を成している感覚がある。鈴木さんも周りを意識していないそうなので、そうだな、僕が少しだけ周りを意識する、くらいのが丁度良いのだろうなと思いつつその意識もいらないんじゃかいか、とか最近は考えている。どんどんと曲に曲だけに向き合っていけば良い。
さりとて、一曲目の最中にひと目線を上げて沢山の、演奏前の転換中に目にしたより遥かに多くのお客さんの顔が見えた時には感動したけれど。

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名古屋を代表するエフェクトビルダー 小池さん主宰のelectrograveの作品が展示されていたので演奏後に妻と娘と愉しむ。オシレーターがファズに繋げられており、それが規則的/不規則に出力先が変化する幾つかのスピーカーに分岐され、更にスピーカーからパイプを通じて音が流れてき、演奏者を取り囲むように音が鳴るという作品。これ、体感する音楽で滅茶苦茶面白かった。この作品、自宅に欲しい。マッタリ聴きながら楽しみたい。
妻もノイズマシンを楽しそうに触っていた。これを機会にハマってくれないか、と期待している。きっと、そんな日は来ないだろうけれど。

ジャンクフードを齧りつつ車で移動。
新栄CLUB ROCK’N’ROLLでの演奏は久しぶりだ。バタバタと会場入りし、楽屋に機材を突っ込んで実家へ。両親に孫娘の世話を頼むと再び会場へ戻る。程無くして演奏時間である。
音出し込みで転換時間には余裕があったようだけれども割とテキパキと転換をし、演奏をする。結果的には10分程まいていたらしい。体感上も演奏時間はあっという間に過ぎてしまった。演奏前、実家に娘を預けに行って一息ついた際には疲労困憊している事を強烈に自覚してしまって「大丈夫かこれ」とさえ思ったけど、やっぱりこういう時の演奏っていうのが一番自分のすっぴんが出るはずでどうなるか、と楽しみではあった。
冷静と情熱の間、というか半歩くらい冷静寄り。リズムセクションの一端を担う立場としては丁度良いあんばいじゃあないかなと思う。
ただ、控え目に作ってしまったアンプからの出音の音量の微調整は結局本番中に結了したのだった。外音は流石敏腕井藤さん(PA)、バッチリだったらしいのだがやはりステージの中でなっている音は演奏に精神衛星上、滅茶苦茶関与してくるから僕は侮れないなと思っている。音量含めて出音だもんな、失敗ではなかったけれども微調整に苦心した。格闘しながらライブを推し進めていく実感はとても楽しいのだが。

連戦は肉体に負担もかかるけれど、その分経験値も多いイメージ。
こういう日は本当に楽しい。有難い経験をした。

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