9月22日(日)は四日市ドレミファといろはにて白線の内側のライブ。
発売から幾分か時間が過ぎてしまったがレコ発ツアーの一環である。
「発売してから一年くらいはレコ発ツアーと銘打っても許される」という先輩のかつての助言を愚直に信じ、遅々たる歩みではあるが白線の内側というバンドは行進を続ける。決して一定のペースでもなければ直進するわけでもないが、大の大人が4人集まっていればそういうもんだろう。ゆっくりだろうが三歩進んで二歩下がろうが動き続けていれば良い。
停滞こそが最も性に合わないのは公私ともに実感している。
結果的にこの日は共演のハルラモネル、ニシヤマユウタ(それぞれ敬称略)と共にトリプルレコ発となった。ゲストにchori君。
この日は台風の影響が出ており天候も落ち着かない。今まで愚直にレンタカーで向かっていたところを「ひょっとしたら電車の方が時間もお金も節約になるのでは」とこの日は近鉄で到着した四日市駅前は突然雨が降ったり曇ったり、いずれにしても物凄い湿気と生ぬるい空気が漂っていたのであった。
「駅で雨が降って困っていたら『傘に入る?』と声をかけてくれたおばさんがちょうどこのビルまで来るところだった。奇跡だ」とやってきたchori君が言う。前日SNSで「滑舌が時折悪くなる。脳梗塞の初期症状かしらん」と冗談で書いていてちょっと心配していたがいつも通りで安心した。
ドレミファといろはで過ごすリハーサル後、開場前の時間程我々が静かな時もないのではないだろうか。メンバーそれぞれ作業したり、大多数は膨大な漫画の中から好き勝手に読んで過ごしたりした。僕はお気に入りの『塀の中』を何度目かわからないがパラパラ読んだ。店主のゴウさんに「舟橋君はそれ、好きやなあ」と笑われた。飲食が関わる漫画が無条件で好きだ。
さて、開演。
一組目のchori君がライブ終盤に具合が悪くなったのか出番直後に病院へと連れて行かれたり等、出演陣一同(ひょっとしたら気付かれたお客さんもいらしたかもしれないが)、ドキドキした瞬間もあったが演奏後に摂取した日本酒が結構良い感じに効いて楽しく音楽を聞き、普段は仏頂面で交わす会話も楽しく出来たと感じている。ちなみにchori君、脳梗塞は専門医によって否定されたようだ。ひとまず安心、だろうか。
この日の白線の内側の演奏は充足感のあるもの。
一曲目から樫山君が具合良くて「ああ、楽しそうだな」と思うと同時に自然と「では自分はもう少し落ち着いて演奏しよう」と興奮しがちなのをグッと抑えるよう努めた。抑え切れたかはわからない。結局は上ずった演奏になったんじゃあるまいか。
白線の内側は練習時には時折絶望する程に全員が噛み合わなかったりするのだけれども、ライブとなると全員がバチッと集中するのか良い感じになるもんだから複雑な気持ちになる。
まあ、練習も本番も絶望的に下手、の何十倍も良いと思っている。
出番が二番目で、ゴウさんが「良い日本酒がある」と教えてくれたし妻からも解禁のお許しが出たので久しぶりに飲酒してみる。最近胃の中にアルコールを入れていなかったからかすぐに効いてくる。
飲酒した方が良い感じにインプットの幅が広がるというか普段より豊かなものの受け取り方が出来ている気がする。きっと気のせいなのだろうけれども確実なのは気兼ねなく初対面の人にも話しかけたり出来る等、厚かましくなれてしまうというところだ。
この日もこの日で一人で静かに酔っ払ってりゃいいのについ楽しくなっちゃって演奏後のニシヤマさんに声をかけたり、した。
二番目というのは、良いものだ。
演奏前にはっきりと自覚した事を憶えているのが自分の日常の中で演奏前程、気弱になっている時はないなという事。精神的にも参る、とまではいかないにしても浮き沈みが随分と激しいしネガティヴな思考に陥りがちだ。いざ演奏が始まってしまえばそんなの全く視野の外になるのだけれど。その浮き沈みとその後の超然とした具合のギャップが、僕の人生を豊かにしていると確信している。
終演後、表に出てみるとムワッとした空気と湿気に包まれた。気持ちは悪いが気分は悪くない。こういう夜は印象深い気候の方が良い。あの夜はこうだった、と後々思い出すきっかけになる。
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