機材棚から愛を込めて、ではないけれども手持ちの機材でまだ備忘録をつけていないものを兎に角記録するシリーズ。
これを一通り終えないと次の機材を買わないぞ、という覚悟を伴って書いている。
BIAS BS-1である。
旧友が音楽活動を辞める際に「これ全部やるよ」と引き取った機材群の中の1つである。
イシバシ楽器の独自ブランドから発売されていたというこれ、ドラム・シンセサイザーである。なんでもYMOの使用で一躍有名になったそうだね。スネアドラムのリム等に本体下部のクリップ等でカマせて(なお、その際にスネアのリムに傷がつくのは不可避との事。嘘だろ)やり、スネアを叩くと振動を感知、それがトリガーとなって発音する。
ピョーーーン!とかピャウピャウとかビーーーッとか、そういう音がする。
ドラム・シンセイサイザーと書いたけれども本体をブッ叩く事で振動を感知して発音してくれるので、ある意味パーカッション・シンセサイザーといえるのかもしれない。
セッティングは簡単、INTENSITYをある程度上げてVOLUMEを調整したらあとは本体を指なりで叩けば奇想天外な音が飛び出してくれる。あとは各ツマミをグリグリ動かして感覚的に楽しむが吉。
後継機のBS-2はプレイヤーからの要望に応えてホワイトノイズが出力出来るようにアップデートされているらしい。
なんだか皆、触りながら同じ気持ちになっているんじゃないかと思えるようなエピソードである。
しかしPC-2を弄りまわして感想を書いた時も思ったけれども、つくづくこういう楽器は僕は「挑戦したい意欲が高い割に向いてないな」と思ってしまう。
こういう何とも形容し難い音をアンサンブル中でうまく使いこなす事こそが音楽的語彙力の高さを示す1つの指標であると思うのだけれども、僕はこういう楽器を自分一人の独奏でも人とのアンサンブル中でもきっと有機的に使いこなすには時間を要してしまう。使いこなせるかどうかさえ危ういなあという気持ちもある。
「うわあ、面白いなあ」よりも先に踏み込んだものがなければ楽器はその能力を発揮しきれないと思うのだ。
そういった意味では不定形の音、音の素材自体を活かした演奏がその良さを引き出すであろう音について、それらを活かす能力といえば僕はその憧れに反しておよそ向いているとは思えないのである。
結局、ベースギターで遠回して変な音を出す方が結果的にアンサンブル中で運用しやすい。
慣れた筆記用具が一番、という事なのかもしれない。
それでもこういう楽器は手持ちで持っていると、こうして自分自身と向き合う際に非常に有用なのだけれども。