Fulltone OCD ver2.0を購入した話。

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昨年末に行きつけの中古楽器屋、というか中古エフェクター専門店が閉店してからというもの、多くの東海圏在住の機材愛好家、蒐集家と同じように僕もエフェクターを買い求めるお店を求めて路頭に迷う事になった。
多くの行動力と時間と情熱を注ぐ事をやむなしと出来る者達のようにリサイクルショップを巡る事も時間的な制約の中難しく、時折行動範囲内の楽器屋を覗いてはかつて行きつけだった店の面影はそこにはないという当たり前の現実に打ちのめされて帰路につくという不健康極まりない道楽の時間を過ごしていた僕を見るに見かねたのかはわからないが、友人が一軒のリサイクルショップを薦めてくれた。
聞くと友人も何の気無しにそこを訪ねたそうだがなかなかの品揃えに驚いたとの事。
僕が家内と友人とそのお店を訪ねたのは果たして桜が咲く頃、Fulltone OCDを求めてであった。

Fulltone OCDはその内部回路からして幾つかのバージョンに分かれる事は好事家の中では有名な事実であり、一見見た目は同じでも音は随分と違う、という評判を沢山聞いた。だが同時にOCDはエレクトリックギターだけでなくエレクトリックベースギターにも具合が良い、という話も聞いた。こりゃあ弾いてみねばなるまい、となるわなそりゃあ。
そんなOCDがバージョン違いで3つ店頭に並んでいると知った時の嬉しい驚き。これで試奏してバージョン毎の違いを知り、更にはどのバージョンが自分の求めるものか探る事が出来る。一箇所でそれが出来るってのはそうそうある機会ではないのではないか。
店員さんに言って、3つのバージョン違いのOCDを直列で繋いで頂き、どれがしっくりくるか比べる事にした。

いやこれがもう面白いくらいに音が違って。
今回僕が試したのはバージョン1.4と1.7と2.0。
まず音量が違った。ボリュームコントロールを同じ位置にしても出力される音量が明確に違って、新しいものの方が大きかった。それだけで決定打にはならないけれど、僕みたいな大音量の信奉者、イヤーカフをしてまでもバンド全体で大音量で演奏する事に臨みドラマーが遠慮容赦なくその筋肉を行使出来る環境を作り出す事に尽力するタイプにはこれは大きなポイントである。
で、今度は聴感上の音量を揃えてトーンの位置を3機種全部揃えて弾いてみると、いやこれがまた音が全然違う。目を閉じてブラインドチェックで比較、というのは出来ないので可能な限りフラットな気持ちで比較してみると、これまた新しいものの方がドライシグナルそのまま(厳密にはそのままではないけれどもこの場合のそのまま=キャラクターを損なう事なく、くらいのニュアンス)の音を出してくれた。
今回欲していたのは『扱いやすいオーバードライブ、というかOCD』だったのでこの「扱いやすそうなOCD」=「バージョン2.0」を購入。

その後、丁度良いタイミングで鈴木実貴子ズでの練習があったりワンマンライブがあったので自分の足元にこのOCDを組み込んで使ってみたのだけれども、いや大変具合が良い。バイパス時の音をそのまま歪ませたような音で扱いやすい。歪ませた、というと説明がザックリし過ぎか。アタックが滲んだような、それでいて抜けてアンサンブルの中でも出音全体が歪んでいるのがちゃんと伝わるような抜けのよいサウンドで弾いててストレスがない。ダイナミクスもちゃんと反映してくれるし、そりゃあ人気も出るってもんですよ、これ。Driveコントロールの幅も相応にあるし、飛び道具的な代物を欲するような時以外は持っていて損はしない一台ではないだろうか。
これの後にベースビッグマフを繋いで歪みを二段階にしてこの日は演奏したのだけれども、大変快適に演奏出来た。
あ、HPモードとLPモードがあってHPモードは音がグンと前に出てきて音量も上がるけれども、何だかちょっと腰高なサウンドになったように感じる。ソロとかとる時はこのモードもオイシそうだけれどもアンサンブル中で堅実に歪ませるのであればLPモードの方が地に足ついた感じがあって良いかと思った。
コントロールが多ければ対応出来る幅が広いってわけじゃないと教えてくれた一台。

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