コーティング弦の一長一短。

僕はベースギターにエリクサーのコーティング弦を張っている。
これは決してコーティング弦の質感がどうであるとかエリクサーのテンション感がどうであるとかそういう理由ではなく(勿論それらが及第点、と言うとおこがましいけれど問題がなかったから張っているわけだが)、弦の寿命の観点からコーティング弦を張っている。
それまで張っていた弦だと長くて一月半、短いと一月もすると張りたての頃こそ良い感じの音だった弦も音がくすみ、ボソボソと頼りない音を出すようになる。勿論音の好みはそれぞれだし張りたてのビンビンした音を苦手とする人が少なくないのも確か。だけど僕は張りたてのあの元気な音が好きなのだった。

貼りたての弦の音は素晴らしい。タイトでエネルギーに溢れている。
しかして張りたての弦の良さも一週間もすれば翳りが見え、気持ちの良い音でいてくれるのもそこまで、そこからは少しずつ完全に死んでしまうまで音の劣化は進んでいく。初めはアンプのトレブルを上げたりして対処するけれどもそのうちそれではフォローしきれない程に弦の劣化が至り、僕はまた大枚はたいてベースギター弦を買うというわけだった。
だがエリクサーのコーティング弦、これを試してみてからすっかり変わった。
劣化はある時期で止まった、と言いたくなる程、つまり認識出来ない程にゆっくりゆっくりとなだらかに進んでいく。それまで張っていた弦の張ってから一週間程度経った頃合いの、僅かに落ち着いた風合いのトーンを持続してくれるのだった。

それから僕は弦を半年に一度、酷くするともっと長い間張り替えなくなる。
「あー音がなまったな、弦死んだかな?」と思うまで半年以上かかった。弦の寿命でいえばそれまでの一ヶ月と比べて6倍だが、体感上気持ち良い音が出ている時間はもっと長い。
張ってから一週間で落ち着き、次の一週間で輝きが消えるという事はつまりベストの時期は長く見積もっても二週間である。つまり残りの二週間は「何だかなあ」な時期を過ごしていたわけなのだがエリクサーのコーティング弦はベストの時期が嘘ではない、ずっと続く。これは演奏する上で大変快適であり、お財布的にも大助かりだ。

だけども今日の本題はここではない。僕はエリクサーの回し者でもないし「エリクサーを張ろう、コーティング弦最高!」キャンペーンをしたいわけではない。どうか誤解しないで頂きたい。
本日メインにしたい話題は「弦アース」である。

勘の良い方ならもう既にお気づきであろう。そう、エリクサーのコーティング弦はその「表面がコーティングしてある」という特性上、弦アースがとれない。通常のエレクトリックベースギターはブリッジ下部にアース線が潜り込ませてあり、ブリッジとそこに乗った弦を通じて指が触れている間はアースをとる事が可能となっている。左手で押弦している限り、あるいはフィンガーピッキングしている間はアースがとれるというわけだ。
だがコーティング弦はそれが出来ない。アースをとるには直接ブリッジかコントロール部分のツマミ(勿論ツマミが導通のあるものの場合だ)、ジャック部分に手を触れるしかない。こういうとなんだそんなもんかと思われそうだが、考えてみて頂きたい。つまりこれは演奏中はアースが落ちていないという事を意味する。
普段の演奏時には気にならない。だけども最近僕はレコーディングに向けて諸々準備中、この事に気がついてしまった。

さあ、どうしよう、こういうのって一旦気になるとどこまでも気になるぞ!
しかもレコーディングでは音色としてコンプレッサーかけるつもりだったし、この状態でコンプかけるとノイズも一緒に増幅されるときたもんだ。

舟橋は考えた。
じゃあ強引に人体にアースを落としちゃおう、と。
というわけでこんなものを作ってみました。


どうか笑わないで頂きたい。僕は大真面目だ。
クリップをブリッジに挟んで、馬鹿みたいに大きい安全ピン部分をパンツの内側、腰の部分に挟み込む。これでアースがとれるってわけ。馬鹿みたいだけども確実な方法だ。

普段の演奏では気にならないので(むしろノイズ成分が旨味になる瞬間もあったりする。コンプレッサーかけて圧縮、増幅したサーッってノイズにエフェクトかけて遊んだりするし)これはレコーディング専用ツールである。

というわけで今日はパイプカツトマミヰズレコーディング。
どうやら約4年ぶりである。良い作品を作ろうと思う。

コメント

  1. たぬき より:

    SECRET: 0
    PASS: ec6a6536ca304edf844d1d248a4f08dc
    ベースはパッシブのJBタイプばかり。
    必要最小限?のメインの4弦(moonJJ/30歳)とFjの5弦(JBV/多分10歳)、4弦のFL(トーカイJB-80改/34歳?)
    近年はメインの4弦とサブの5絃に同様にエリクサー絃を愛用しています。

    パッシブと言う事でいずれも長年、ハム(アース不全?外来)ノイズには大なり小なり悩まされて来ました。

    昨年秋、moonJJを腕利きの信頼度抜群のリペアーショップに思いきって出し ノイズ対策とフレット擦り合わせをお願いしました。(ネック自体は奇跡的に問題無し)

    結果はエリクサーを張っているのにも関わらずほぼ完全にハムノイズが消え去りまして、
    本当に静かに成りました。感動!

    それに鯵を締めて?先日の年末に5絃(と預かり物のバッカスJB)もノイズ対策に出しました(
    自分のは懐具合の関係でとりあえず松竹梅のライトなお試し梅コース。
    某団体の預かり物のバッカスJBはアッセンブリ~ジャック、線材とも総取替え含むいわゆるフルコースの松コース)
    加療1ヶ月位との事で1月末頃の仕上がり予定。

    結局は、外来ハムノイズ対策はプロに任せるのが吉です。