ミッドナイト奉仕活動6

というわけで、明け方まで音源を生産して就寝、起きたら入り時間予定30分前。あわや、寝過ごすところであった。危なかった。慌てて準備をして、いざ出発。

自主企画の日って、何でこうもワクワクするんだろうか。そりゃあライブって毎回毎回楽しいし、一本一本区別してやってるわけではないけれど、やはりそれでも自主企画となるとどうしても心躍る。勿論、内心不安はある。「進行に不手際があったら」とか「忘れ物はないのか」といった心配性特有の不安に、「良い演奏が出来なかったら」とか「企画の日に限って機材トラブルが起きたら」といった演奏者としての緊張(これはぶっちゃけ、毎回感じている事ではあるからいつも通りなのだけれど)、そして「どれだけの人が足を運んで下さるだろうか」という主催者としての緊張である。最後の一つはメンバーも同じではないだろうか。けれどもまあ、いざ会場入りしてしまえばあとは楽しむだけなのだけれども。

リハーサルをしていると、お久しぶりな方々、最近もよく会っている皆が集まってくる。個人的にはこの日の出演バンドは全バンド共演した事があるので、全員顔見知りである。「お久しぶりじゃないですか」「おお久しぶりー!元気してた?」とか「遠路はるばる有難うー」「いやいや呼んでくれて本当嬉しいです」という会話から「今日は打ち上げ、ブチアゲましょう」「まじかよお前本気かよ」といった他愛のない話、共通の友人の話等色々盛り上がる。

こういうのって主催者の小さな楽しみだと思う。

全バンド事故も渋滞もなく、リハーサルもタイムテーブル通りに終わり、そして開場、開演。

客席後方のPAブース前に陣取って演奏を観る。

palitextdestroyは、もうライブを観るよりも一緒に飲んだり出掛けたりそれこそ僕の私生活に於いて最も顔を突き合わせる機会が多いバンドでありますが、それでも実はライブは数回しか観た事がない。何ならライブハウスでライブを観るのは初めてかもしれない。本当、河本君はよくライブ来てくれるってのに薄情な年上だ僕ぁ。

サマソニ出演も決まり(しかもSONIC STAGEだ)順風満帆に見える彼ら。実際のところはそれを節目に改めて誠実に誠実にライブ活動、バンド運営に取り組んでいる光景を見てきたし話も耳にした。それが故にこの日のライブも楽しみにしていたんだけども、いやはや、まさかいきなりあんな光景が見えるとは思わなかった。

機材トラブルなんてドラマティックな演奏、光景の前ではただの些事でしかない、とこの日痛感した。

それにしても一組目にパリテキだなんてどれだけ豪勢な開演なの、本当に。

そして茨城から招待したcuol先輩。出会ってからもう数年、やっと自分の手で名古屋に呼ぶ事が出来た。

出会ったその日から一緒に飲み、一緒にライブを観、語らって遊んで下さったcuolは個人的にも尊敬する先輩なのだけれども、それ以降も遠征先でお会いしたりCD発売に際してコメントを書かせて頂いたり特に何もなくとも連絡をとりあったりしていた。けれどもやっぱり僕としてはcuolを名古屋に呼べない事に関しては内心引け目があった。呼ぶ機会がなかなか、ない。こればっかりはタイミング等色々あるから仕方がなかったのだけれども、先輩方、名古屋に呼ぶのが遅くなって本当に申し訳ありませんでした。

で、この日のcuol、やっぱり格好良いバンドだなあ、と。まさかの「溺れたエビの検視報告書」から総帥のゲスト参加にお客さんも大喜び。名古屋でも相当ウケてました。

DOIMOI先輩との個人的な出会いは実は結構昔に遡る。不完全密室殺人で年末、ロックンロールに出演した際にブッキングで出演していたのがDOIMOI。あれはDOIMOIがフジロックフェスティバルに出演した年だったと思うので今からもう4年前になるのか。それ以来定期的に拝見、共演させて頂いてきたのだけれども、実は一番今回急なオファーをさせて頂いたのがDOIMOI先輩でした。Vo/Gtの二村さんが海外出張なさるらしいとの事で一度は諦めかけたDOIMOIでしたが、海外出張がなくなったとの話を聞き、メンバー様に連絡。すぐさまお返事頂けて出演して頂ける事になったのだけれども、あれは一度諦めかけただけに嬉しかったなあ(諦めかけた過程で新しく綱繋がった御縁は、必ず結実させようと思う)。

最早重鎮的な風格さえ感じるDOIMOIなのだけれども、この日もズンズンズンズン素敵なリフをザクザク刻まれまして、「ああもうこのイカしたリフったら!」とグッと拳を握る事数回、思えば今まで観た中で一番ヘヴィな印象を受けたのは篠田さんのベースがパワーアップしたからだろうか。

DRINKPED、関西からの刺客。僕が彼らと初共演したのは不完全密室殺人でDRINKPEDにまだギターがいた頃だったと思うのだけれども、同じ頃に当時第3期だったパイプカツトマミヰズで吉田君は共演していたそう。パイプカツトの初企画でも出演していたし何かと縁がある。浴衣着用で会場入りして「今日地元でお祭りだったんで気分だけでも味わおうかなって」って言われた時は何だか凄くホッとした。東京や遠くの地でも好評を博しているのを人づてに聞いていたので、気難しいバンドマンみたいになってたらどうしようという不安が僅か、極僅かだけどあったのさ。

個人的な思い入れとしては色々なDRINKPEDを観てきた(こう書くと小倉君に「何を見てきたっていうんすかー!」って怒られそうだけど、時間を空けて見ているが故に観る度に凄く様変わりして見えるんだよ)けれども、今のDRINKPEDが一番ゴッツいかもしれぬ。華奢な体に引き裂いたTシャツを身にまとっていた小倉君は、今やデカい舞台で多くの人をアジテートしかねない風格。人間部分は全く変わっていなかったけれど。

最後に出演したのは我々パイプカツトマミヰズ。第7期初の、そして久しぶりの企画なので力が入ったのだけれどもどうだったのだろうか。普段より音量を絞り、音響的にも余裕を持っての演奏。色々勉強になったし課題も見えた。とりあえず吉田君が楽しそうだったので個人的目標は最低限クリアしているものの、それでも更に高みを目指さねばいかんなあ。

音楽性は勿論気に入っていたけれども何より、吉田、駒田の2名の情熱を感じ一生に活動したいと思って加入したパイプカツトマミヰズ。メンバーやサポートメンバーの入れ替わりも激しく、なかなか安定しなかった、しなかったと思っている。色々な声を聞いたし悔しい思いをしたけれども、練習で練り上げて活動を重ねて地盤を固めて、そして少しずつでも前進していく、点と点を線で繋いでいく、そんなバンド活動の根本的な楽しさを再認識させてくれたのも、そしてそれが結実していく充足感を改めて教えてくれたのもこのバンドだ。まだまだ思う、今に見ろ、と。

打ち上げはブチ上げモード。気づけばcuol細谷先輩と肩組んでガッハッハと笑い、ベロベロに酩酊。可能な限り人に迷惑をかけないように留意したつもりだけれども、所謂「ひっでえ打ち上げ」だった。ああいうのもたまにはいいもんだ。ライブで体を酷使し、打ち上げで体をボロボロにし、そしてうどんを食べて〆る。悪くない。憧れのタフなバンドマン像って奴が脳裏にちらついた。帰宅した頃にはクタクタで就寝。

こうして僕の「ミッドナイト奉仕活動6」は終わった。お越し頂いた皆様、急なオファーに応えて頂いた出演者の皆様、関係者各位、本当に有難うございました。

そして吉田君、25歳おめでとう!

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