僕の黄金週間その2

さて、黄金週間を振り返ってみる企画、前回 からの続き。

5/4(金)

・犬丸ラーメン、パフォーマンス開始。

タイムテーブル上は26時から開始だったものの、恐らくは実行委員会側も予見していたとは思うけれども大丸コピーバンドの我々が「予定通り」に始めるはずがない!というわけでちょっと早めの25時半、犬丸ラーメン開店。

ここでまず驚いたのが、行列が過去最高の長さに及んだ事。調理担当 シン君が後に語った所によると「行列見た瞬間に、何か覚悟しましたね」。そう、物凄い人数の方々が深夜の南知多で行列を作ったのだ。

解散決定後、問い合わせは何件か頂いたものの、まさかここまで多くの方々が並んで下さるとは思っていなかったので内心食材がもつかドキドキしながら営業。

当初の予定は30食、シン君の判断で10食分プラスされ、この日の提供予定数は40食分。+αで若干の食材はあるものの、営業開始から数時間後の段階でも列が全然短くなった気がしない。

食材の残りに気を遣いながら黙々と調理するシン君、提供する僕、そして皿洗いに走る野村さん。

時間があっという間に過ぎる(作業内容自体は僕が一番少ないはずなのだけれど)。気がつけば明け方5時半。最後はシン君が余った食材を出汁に突っ込んでうどんを作成、炊き出し状態で「さあ、食べろ!」と終了。

疲労困憊の中、少し貰ったのだけども沁み渡るような味。実は犬丸ラーメン、最後に余った雑多な食材で過去に甘辛うどんとか作ってきたのだけど、今回のも凄かったな。シン君って本当に料理旨いのね。結構ザックリ作ってるように見えて味がしっかりしてるってのはそういう事なんだろうと思う。

とりあえず、無事犬丸ラーメン終了。後々計算した結果、実に50名を優に超える皆様にラーメンを提供する事が出来ました。中には3時間半並んで下さった方もいらしたようで、たかだか一介のコピーバンドに過ぎない我々には役者不足な感も否めませんが、何にしても楽しんで頂けたなら良かったです。

・シャビーボーイズ、復活!

今回はちゃんと片付けも参加して(コダマの時は気絶同然にログアウト)、そのまま二日目トップバッター、シャビーボーイズ まで寝ずに起きている事に。シン君も完全に疲弊していたし、僕も前日からの疲れもあいまってひっどい顔していたけど、何せシャビーボーイズは久しぶり。ベーシスト いちろー君脱退以降、ハックフィンファクトリーの片隅でそれからバンドをどう動かすのか先について話をしている彼らを見ていたし、今回見逃すわけにはいかなかった。

…残り2時間ちょっと、か。まあ野外フェスだしフラフラしてれば2時間なんてあっという間さ、と海を望む、本部裏のベンチ(出演者のサロンみたいになってましたな)に腰かける。頬杖ついて、ホッと一息。

…。

…。

……。

………。

・……………………………………。

「舟橋さん、孤独部ですよ!」

意識覚醒と同時に、シン君の声が耳に入る。時計を見ると、孤独部のセッティング準備のため(準備の準備、っておかしな表現!)ステージ脇に控えていなければならない時間。もうね、全然寝てない中気づいたら眠ってて、それで無理やり起きた強烈な寝起きの頭でも理解出来たよ。

俺、あれだけ言ってシャビーボーイズ見逃した。

…ごめんなシャビーボーイズ。しかもまだ直接それを本人達に言えてないっていう。あの日だけは見逃すべきではなかった。そしてそういうライブをした、と後々、友人達から聞いた。

「フェスは見逃すのも思い出」。友人の言葉が甦る。でもバンドが新しい一歩を踏み出す瞬間は見逃すべきではない、ってのも真理。しかしこれで心折れていられない。僕の眼前には自分の演奏するステージが迫っていた。

・孤独部で演奏

演劇を主体とした総合表現ユニット「孤独部」とはDAYTRIVE八木さんのイベントにて犬丸ラーメンを出店した際に出会った。

主催のかしやま君、学生時代より役者としての活動を重ねてこられ、09年に「孤独部」を立ち上げられたそう。よくライブハウスに出入りする彼は、この日も御贔屓のバンドの演奏を観に来ておりたまたま犬丸ラーメンを食べたというわけ。コピー元の大丸ラーメンもまだ食べた事がないそうなのだが、犬丸ラーメンを嬉しそうにガツガツ食う様子に「ああ、この人手練れだ」と思ったものだ。

丁度その時はお客さんが他におらず、調理担当 シン君も一息ついていたので、もやしをサービス。

「もやし、食べるなら入れたげるよ」

「本当ですか!?やった!」

どこまでも無邪気な笑顔に、やはり只の喰い手ではないと確信。DAYTRIME厨房内にてtwitterを見てくれている(「シン君!僕達の事書かれてないか見てみてよ!」)シン君が、眼前の大喜びで丼からラーメンを啜っている男こそ、「孤独部」その人であると教えてくれた。

丁度Seapusの出演者も発表になった後で、「演劇ユニット」という見慣れない表現集団である「孤独部」に興味を抱いていたのでラーメンを食べ終わったかしやま君へ思わず声をかけてしまった。

それが出会い。

で、それから孤独部の練習動画やら色々チェックしていたらますます興味が湧き、その頃にはかしやま君にも「実はラーメン屋だけではなく、バンドマンなんです」と打ち明けていたのでちょっとお茶しようと彼を栄のオアシス21に呼び出したらまさかのSeapusでの演奏オファーを頂戴して。

それから日程を調節し、シン君をドラムに誘い、役者さん達との「セッション」を重ねてきた。そう、セッションだ、あれは。言葉と体を使う彼らに、音をメインウェポンにバンドマンが立ち向かう、そんなセッション。

今回やってみて思ったのは、役者とバンドマンって通じる所が少なくないという事。如何にフレキシブルに表現を行うか、という事に重点を置いている意味ではどちらもそうだし、何より「孤独部」の稽古だからなのかもしれないけれども、彼らが用いている言語や一つの表現をするためのすり合わせ等、完全に馴染み深いものだった。

バンド活動を続けてきて「役者」という業種の人間と関わる事はなかったわけではなかったけど、今回お会いした役者さん達、皆面白い人達だった。役者さんのスイッチ入った際の「遠慮のなさ」は大好きです。

皆さんSeapusも楽しまれていたようで(全員で犬丸ラーメンを食べに来てくれて嬉しかった)、一応「普段こういう場所で表現をやってる人」な僕も妙に嬉しかった。

いや、それにしても最初は手探りだったなあ。こっちが向こうの土俵に上がって何かするというのは初めてだったので、練習から本番まで実に新鮮だった。

演奏後の充足感がいつもと異なるものだった事も印象深い。

演劇+音楽は、音楽の中に演劇があるのでも演劇の中に音楽があるのとも違うのだろう、恐らくは違うのだろう。

今後孤独部にどれだけの頻度で関わるかはわからないし、どれだけ関われるかもわからないけれども、幸いにも今回の試みをかしやま君は気に入っている様子。なので彼から声をかけて貰える間は、日程的に無理がない範囲でまた参加していきたいなと思っている。

この日のリハーサルの様子が、Youtubeにアップされています。

金森君(Gt)の小気味よいカッティング、実にオイシイ。「犬丸ラーメン」がリズムセクションを務めていますが、二人の覇気のなさにも注目!

・palitextdestroyにお呼ばれ、の巻

前夜、犬丸準備を始めるか始めないかの頃に神妙な顔をした河本君(palitextdestroy、犬丸ラーメンサポートメンバー)に「話があるんですよ」と呼び出され打ち明けられた計画、僕もその計画の一部だったのでステージ脇に移動。

この辺りってか前夜から立ったまま寝たり座って数秒後には寝たり、を繰り返していたので少しの空き時間に仮眠をとるのが癖になっていたのだろう、目覚めればメンバーも計画の参加者も応援に駆け付けた柴山社長(ONE BY ONE RECORDS)も全員ステージ脇に集まっており、ちょっと慌ててしまった。

で、メンバーが立ち去り、カリクビ君(ワッペリン )が楽器がスタンバイされたステージに上がる。ドラムセットの中にカリクビ君が控えると流れ出すSE。僕もステージ上手にスタンバイ。お互い腕を組んだまま神妙な表情で"その時”がやって来るのを待つ。

そして、海からpalitextdestroyが上陸、びしょびしょのまま楽器を準備。

舟橋、「お待たせしました、we are motherfuck’n JONYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!!」→ガッシャアアアアアアアアアン!!→風神ちゃん(ワッペリン)、常見君(palitextdestroy)と共に登場。常見君、口にわかめ加えてる。細かい→「テッ テッ テッテッテッ♪」→皆でunclefucker

出演していないのに南知多にその名を響かせる、そんな行為を恥ずかしげもなくやりましたよっ。

去年のカウントダウンでワッペリンがJONNYの「unckefucker」をカヴァーしてくれたのだけども(これがかなりのハイセンス)、ワッペリンの二人が会場に遊びに来てるのを見た河本君による、まあ遊び心だよね、これ。

プランを聞いた時は「何で俺が火傷しないといけないんだ…!」とスベる覚悟を決めたけど、でも結果的にお客さんも喜んでくれたみたいで良かった。

ステージ上空に大量の鳶が旋回してて、演奏しながら倒れた河本君(生乾き)が連れ去られないか、とか色々と見所の多いステージだった。

これにてSeapus2012、舟橋の出番は全4ステージをもって終了!

・Seapus2012総括

さて、何故2日目になって時系列ではなく要点毎に記録をまとめ出したか。

簡単である、記憶が途切れ途切れなのだ。全てが地続きの記憶というよりかは断絶的な、オムニバスの映画のようなそんな統一性のない記憶の断片しか残っていない。これは忘れたってよりかは、もう単純に疲れてた。

今回のSeapus2012、舟橋こういう機会には大抵そうなのだけどはしゃいでしまって余裕を持って過ごせていない。行きは一緒だった茜谷さん達はお昼でSeapusを切り上げて、海の方で美味しい魚を食べて帰られたそう。大人の余裕、である。かたや僕は二日間で多くの人に「眠そうだね」とか「大丈夫?」と声をかけて頂き、恥ずかしい事この上ない。だってそうでしょ、好き好んで自分から色々やっておいて人前で疲れた顔して、あまつさえ友達の演奏もほとんどまともに観られてないって本末転倒じゃあないか。

自分自身の詰めの甘さっていうか、管理能力のなさにホトホト呆れると同時に、次回からはこういうシチュエーションでも全力で走り切る事をお約束します。

さて、Seapus2012、参加された方は同じ感想を口にされるだろうし、近しいバンドマンも皆口を揃えて「楽しかった!」って言っていたけど、本当に楽しかった!

イベント会社でもなく、有志で集って形作られた実行委員会とボランティアスタッフが(勿論、多くの方々の協力があった事は何となく知っているし、僕の知らない所にしてもきっとそうだろう)あれだけの規模の野外フェスを2日間行うというのはそれだけでもう凄い事だ。そしてそれを皆が楽しんだというのならそれは本当に素晴らしい事だ。

勿論主催側は主催側でご本人なので色々と反省とかあるのでしょうけれども、それでも僕は素晴らしい2日間を有難う、と貴方方に伝える必要性を感じています。

Seapus関係者各位、素敵なフェスを実現させてくれて有難う。

実行委員会は個人的にも知っている方々なんだよね。

皆さん、今度一緒に飲みましょうね。

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