アレルギールと世界との距離。

母の意識が戻ったとの事。
話すには時間がかかりそうだが手を握りながら父が「わかるかい。わかったなら手を握ってくれ」と呼びかけたところ握り返してくれたとの事。「それにしてもなぁ」と父。
「それにしても、切ないもんだよ。寂しそうな顔するんだよなァ」。
母も、そして父も闘かっていると思った。
僕はといえば先日見た母の様子から見違える程の回復具合に一喜一憂している。良かった、けれどもこのまま持ち直してくれるのか。一番しんどいのは闘病している母である事は明らかなのだが、やはり息子が何も感じないはずはないのだ。

気に病んでいるからか、それとも冬の乾燥にやられただけなのか太腿や裏側、腰回りに湿疹が出て痒くなった。
調べてみると乾燥性皮膚炎というそうだ。加齢によって抵抗力が低くなったりすると生じる事があるそうだ。
口の周りにヘルペスが出来ている事を鑑みても、原因は冬の乾燥だけではない気がしている。
これで済めば安いものだ。母はもっとしんどい思いをしている。

安いものだ、と書いた直後にナンだが、あまりにも痒くてたまらないので皮膚の痒み止めの塗り薬を探し回った。
根本的に治すためにステロイドの入った軟膏と、痒み止めといったらこれでしょのムヒを購入。
ムヒ等のメンソール感の強いものは塗った当初こそひんやりして痒みが鎮まるが、程なくしてまた痒くてたまらなくなった。
軟膏タイプの塗り薬も同じである。化学繊維を使った衣服がいけないのか、薬を塗った当初は良いもののしばらくすると熱をもって痒くなってくるのであった。
最終的に僕が頼ったのは飲み薬であった。

アレルギールは以前も使った事があった。
確か蕁麻疹が出た時だったと思うが、結構効いたように思う。ショッピングモールに家族で買い物に出た際に、痒くてたまらなくなったのでそのままモール内の薬局にて購入、フードコートのウォータークーラーにて水を用意してすぐさま服用した。
30分もすると痒みが引いてきた。全くもって、薬が効きやすいのであった。
最高じゃん!アレルギール!!と痒みから解き放たれた僕は心の中で大喝采の一方、もう一つの変化を実感していた。
眠たい、というか遠い感じがする。
痒みが遠ざかるのと同時に、自分の周囲に対する知覚に膜が一枚張ったというか、ちょっと距離感を感じる感覚。
眠気と同時にやってくるあの感覚を、普段それを感じる時程眠たくもないのに実感していた。
妻にその話をすると「何か、色々と鈍くしているのかもしれないね」と。
外的な要因で自分の感覚に変化を生じる事は嫌いではないので(サウナと水風呂の交互浴なんかまさにそれ、である。但しアルコールは僕にとっては弊害が大き過ぎるので控えている)これはこれで良し、だ。興味深い。


写真は、娘が描いたラムちゃん。
絵もさる事ながら平仮名の「む」がまた味わいがある。きっと今しか描けない。