某月某日、遠方の親友より荷物が届いた。
中には簡単な送り状が同封されており、そこには『親愛なる友へ。僕には不要のもの。託す。また泊めてくれ』と簡潔極まりないgが親愛に溢れたメッセージが添えられていた。
OK、友よ。託された。僕には過ぎた代物かもしれないが、使いこなせるよう尽力してみよう。
そしていつでも泊まりに来てくれ。拙宅は君にとって名古屋の家だと思って貰って構わない。
というわけで、Electro-Harmonix bass MICRO SYNTHESIZER(正式名称は筐体に記されている通りSYNTH、なのかもしれない)である。旧筐体はデカいブツだったけれども、これは割と最近の小型の筐体のもの。鉄板を曲げただけ、みたいな旧筐体は見るからに無骨で格好良かったけれども、こちのサイズ感の方がボードに納めるには現実的な気がしないでもない。筐体や時期(それこそ旧筐体も本体から直接電源コードが出ているものもあったのではなかったか)によって音が違うと聞いた事があるけれども、そもそもこの筐体のものしか触った事がないので比較のしようがない。
それにしてもそんなに昔の製品でもなかろうに、この筐体の貫禄は何だろう。親友がどういう経緯で手に入れたのかは定かではないけれど、これまでにコレを踏んでいた誰かが本体にマーキング用のテープでも貼っていたのだろうか?それでもここまで塗装が剥げるのものだろうか。ううむ。
格好良いからいっか!
コントロールについて簡単に書く。左から順に…
TRIGGER=フィルターにブッ込む音の入力感度
SUB OCTAVE=サブオクターブの音量
GUITAR=フィルターセクション通過後のドライシグナルの音量
OCTAVE=オクターブ上の音量
SQUARE WAVE=方形波(スクエア・ウェーブ)の音量
ATTACK DELAY=音が音量0から音量最大になるまでの時間設定
RESONANCE=フィルターの効き具合、鋭さ設定
START FREQ=フィルターの効き始めの周波数設定
STOP FREQ=フィルターの効き終わりの周波数設定
(START FREQとSTOP FREQでビョン!の「ビョ」と「ン」を決めるイメージ。設定次第で「ビョ↑」「ン↓」も「ビョ↓」「ン↑」も作れる)
RATE=フィルターの変化の速さ。グオオオオオオオオオオオオオオからビョン!まで。
SUB OCTAVEとGUITAR、OCTAVEにSQUARE WAVEの4種類の出音のミックス具合で基本の音をつくり、フィルターセクション(ここが結構融通が利き、かつ感覚的に操作出来る。START FREQとSTOP FREQは最初こそ戸惑ったけれども「こういう風に使うのか」とわかると感覚的に触る事が出来て良い)でどんなフィルター効果を付与するのかを決め、そこにボリューム奏法的な効果を与えるか否かをATTACK DELAYで調節すれば割と結構感覚的に音作りは簡潔してしまう。
で、SUB OCTAVEも利かせられるので結構ドスンとした音になるんだよね、これが。アナログシンセ的な音を各種パラメーターを触る事で『再現」してしまおうという、いわばアナログシンセ・エミュレーターなのだろうけれどもそれだけで終わらない気概を感じる。出音が結構ゴツいので、バンドアンサンブルに混ざった時も効果を狙いやすいのではなかろうか。
プリセット出来るわけでもないし触れる部分も多いので「幾つもの音色を切り替えて使う」的な使い方は難しいだろうけれども「狙った音をバンドアンサンブル中で運用する」なら存在感を遺憾なく発揮してくれそうな感じがある。