有給休暇日である。
家族を送り出した後は平日朝から模型製作時間を過ごしたり洗濯物を干したりし、家を出た。
この日はやっつけておきたい予定が幾つかあった。
まずは名古屋市営地下鉄栄駅に向かった。数日前に期限が切れてしまった通勤用定期券を更新、あとは行きつけの1000円カット系列店が駅内にあるという事で散髪をする予定であった。
栄駅に降り立ち、ふと思いつきで炭酸さん(犬栓耳畜生)が勤務してらっしゃる針灸院を覗いてみると丁度お客さんが誰もおらず空いているとの事。飛び込みでも対応可能だという事だったので炭酸さんに施術して頂いた。
「おっ!ここ張ってますねえ!」「おおっ!ここも!」だなんて言いながらあちこち施術して頂いたのだけれどもこめかみ部分を触って貰った時に「ここはってますけど、舟橋さん(僕の方が後輩なのに敬語で話すんだよな炭酸さん)頭痛持ちですか?」。
「そうなんですよ、雨降る前後とか結構痛くて」「オッケーです念入りにやっときます」ゴリゴリゴリ…。
施術が終わって起き上がってみると頭が軽くなっている。そればかりか全身シャンとしたというか軽くなった感じがある。
流石!!
その後、定期券を更新して散髪屋さんを探すも、まさか改札の中にあるとは思わず駅構内を30分近くウロウロしてしまった。
散髪を終えると昼時である。栄駅から次の目的地である上前津方面の間にある二郎系ラーメン屋で昼食。これも平日のこの時間じゃないと来られない。子どもがいると二郎系はなかなかハードルが高いのだ。
ジョー〇ンで塗料等を購入。丁度製作中のTAMIYA 1/48 T34/76を汚すためにウェザリング系の塗料を幾つか買い求めた。
その足で行きつけの中古エフェクター店を覗く。特に目的はない。近くを通りかかったので何か面白いものは入荷していないかチェックがてら、である。
この日は丁度店員ヒラシマ氏が店先に立っており、たまたまお客さんもいない時間帯だったので気になるリバーブやら空間系を幾つか弾かせて貰った。ヒラシマ氏は僕の嗜好を良くご存知なので「舟橋さんこれ弾きましたか」と面白いペダルを出してくれる。
つまり、拙宅の家計的には大変に危険な男なのである。幸いこの日の空間系に関しては思い留まる事が出来た。
そんなエフェクターばっかりポンポン買ったら妻に怒られるよ。こないだディレイを買ったばっかりじゃん。
空間系を弾いた後、棚を覗いているとヒラシマ氏はどうやら検品中。訊くと来日ミュージシャンに機材を貸し出したりしていた業者さんが廃業、保有していた機材を大量買取したとの事。大量のボリュームペダルやらエクスプレッションペダルに「成程、来日アーティスト向けのリース会社さんっぽいな」だなんて思いながら機材の変遷に思いを馳せた。
そういえばローインピーダンスのボリュームペダル、これくらい軽いのがあると便利だよなあと思いながら話していると「あ、舟橋さんこれ欲しいですか」とヒラシマ氏。こちらの心の中が読めるのか。どれだけ(家計的に)危険な男なんだ。
中古ペダルを買う時は前オーナーの痕跡が残っているとグッとくる。そのものの価値がただのエフェクターではなく「〇〇という流れで僕のところに来たペダル」になるのである。
そんな僕だからどうせ買うなら廃業した会社のステッカーが貼ってあるものが欲しい。
ヒラシマ氏にそう伝えると「ありますね」。

というわけでmy new gear BOSS FV-50Lである。
サイズ感といい重さといいギグケースに放り込んでおくに丁度良い。
筐体横のツマミでミニマム(最小)音量が設定出来るのも良い。手元足元で歪み具合を調節するギターリスト諸兄なんて一頃は結構重宝したんじゃないのこの機能、だなんて思っている。

筐体底面には廃業した会社のステッカー。
掲載されているのが社名と固定電話というのも歴史を感じて良い。
きっと電話で「はいはい、アンプうン台とボリュームペダルと」だなんて言いながら手配を受け付けていたんだろうなあだなんて妄想してしまう。
それにしても、埃こそ被っているけれども筐体自体は綺麗だ。

ジャック部分も錆びてこそいるものの、何とこの見た目でガリさえなかった。
筐体横のミニマムボリュームコントロールはガリがあったものの、ブンブン回しているうちに全く綺麗にガリノイズが出なくなった。つまりこのFV-50L、見た目こそ錆びていたり埃を被っていたものの完全なる完動品なのである。
どれだけ時間を経ても当たり前のように動く、機能する。
これがどれだけ凄い事か、相応の台数のペダルを経験している今ならその凄さが理解出来る。
多くのミュージシャンに貸し出してきたであろう、業者さんが信頼するに足りるのはこういう機材だったという事だ。
勿論、今後もステッカーはそのままに使っていこうと思う。