SOVTEKの黒いのを修理に出した話。

こういうページ(恐らくは世界有数のビッグマフユーザーでありコレクターであるダイナソーJr.のJ・マスキスがビッグマフについて、同じくマニアックなインタビュアーと対談をしているwebページである。余談だがダイナソーJr.は学生時代にチラッと聴いて以来…。すいません、近々1stから聴き直します)とかを観ていると「バンドを初めて数年経った頃の、ちょっと機材とかに熱い思いを抱き始めた頃のあの感じ」を思い出す。
頭でっかちに「あれは良いらしいぞ」→「あれは名器」みたいにシタリ顔で語っちゃうような(こういう時期があっても良いと思うのよ、その後に挫折を味わって立ち上がれば)楽器の演奏よりも楽器について話をするのが大好きです、みたいなそういうどうしようもないバンドマンでもなく、かと言って「やっぱり腕だよ腕」とまあそりゃあそうだよ入力だもんねってそういうレベルではなくエフェクターを使うという行為自体が愚行!みたいな極論に走ったバンドマンでもなく、そう、何かを踏む事で音が変わり何なら敢えて言っちゃうよ「世界が変わる」くらいの衝動を以て右足を踏み込んでいたあの頃。
僕みたいなタイプっていうのは根っこにはあの頃の「うおおおおお!格好良い!凄い、これ凄い!もう一生これでいくもん!」というようなすぐ折れるにしてもその瞬間には並々ならぬ覚悟を伴った決意とか「あの人と同じの使いてえええええ!使い、てえええええ!」みたいなエレキギターを初めて鳴らした瞬間の興奮をそのまま肥大化させたような憧れが残ってる。
実際のところ上記の対談も僕みたいなのにはマニアック過ぎて「ああ、この人達もビッグマフ好きなんだなあ」って思える最高に面白い読み物でしかない。
だけどさ、こういうの読むとビッグマフ、踏みたくなるじゃん。それでいい、そういうのでいいんだよ。俺達がやってるのは。
というわけでこの日にはるばる遠方から東京まで友人伝いで輸送されてきたブッ壊れたロシアンマフ(ブ厚いからちょっと古いものみたい)を個展を終えられたばかりの小池さん(ロック墓場/ELECTROGRAVE)に託してきた。
で、どうせ直すならちゃんと使える仕様じゃないと勿体無い、という事で音に関わらない部分で使いやすいように手を加えて頂く事にした。完成が楽しみである。

で、友人宅が自宅付近で飲み会を行っているとの事で終了間際に覗いてきた。
深夜に「明日も仕事だわ」とか言いながら若者達が安いチェーン店でセックスの話とかファズの話(これは僕と限られた一部の友人との話だ)に興じるのも、ドロッとした楽しさがある。ドロドロ、ではなく眠くてたまらない時の恍惚感の様な、そういう類の楽しさだ。この感覚を忘れないようにしたい、と思った。
皆、来ては自分の良い頃合いに帰るもんだからテーブル上には彼らが去り際に置いていった小銭や札が散乱している。いざお会計となってその場に残った人間で残りを割ろうと思ったのだが、どうしたって千円余る。律儀に誰かにバックするようなお金でもないので残った人間の特権(?)でじゃんけん大会を行う。幸いにも勝つ事が出来、財布から出ていった千円はめでたく手元に戻ってくる事となった。
酔っ払ってヘラヘラ笑いながら「何もかもビッグマフのお陰だ」と思った。
根拠?
当然ねえよ。

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