楽器の高さ=ストラップの長さと演奏性についての記録。

ベースの状態(ネックの状態や弦高等)には元々結構神経質であるというか気になってしまうクチなのだが、ようやく最近「演奏に支障をきたす程の異常がなければ、定期的にメンテナンスして貰って楽器として少しでも長く使っていける状態を維持する方向性で良いか」と腹を括る事が出来た。この国に於いて四季の変化に伴う湿度の変化、それによって起こるネックの状態の変化についてミリ単位で神経質になっていては、僕みたいな肝っ玉が小さい男では演奏以前にノイローゼ気味になってしまうだろうから、このように少しは割り切る他ないだろう。
弦高に関して言えばネックは僅かに順反り気味、弦高も4弦12フレットで2.5mmくらいは欲しいところ。ピックで乱暴に弾くのでj十分に弦が振動する余裕を持たせたい(=僅かに順反り)し、適度に弦高も必要(=4弦12フレット2.5mm)なのである。尤もこれは僕が調整するものでもないので、結果的に好みに調整して頂いたらこのような状態になっていたよという事。


さて、先日の鈴木実貴子ズズズでの演奏では天候の心配もあったのと、こういう時しかなかなか機会がないので弐号機を持ち出して使用した。弦高を前夜に微調整、初号機よりも明確に音が腰高なので足元のプリアンプでベースをちょっとブーストして低域をちょいマシにしてバランスを取った。出音は期待通りというか期待以上のゴリゴリ感で大変気持ち良く演奏出来たのだが、演奏しながら同時に感じたのは楽器の高さのジャストフィット感!

楽器の高さというのはここ数年ずっと迷子で、高くなったり低くなったりを繰り返している。それこそ10年以上前には特に意識もせずに結構ベースが下の方、腰よりも下の位置に来ていたのだけれども演奏を重ねていくにつれ右手のピッキングと左手の運指のバランスと、体と楽器が触れ合うバランス感覚で徐々にベースの位置が高くなっていったのであった。
多分この頃とか一番高かったんじゃないかな。
でも後々演奏を記録映像とかで観返した際に「いや高過ぎだろ」と思い楽器の位置を下げる→弾きづらくて上げる→しっくりこなくて下げる→違和感を感じて上げるを繰り返していた。
10年前と比べると明確にベースのハイポジションを使った演奏が増えている事もあり、しっくりくるバランス感が変わっているのではという思いもあって模索していたのだった。

しかしながら弐号機を持ち出していざライブという、状況としては一番苛酷になり得る条件下に於いて感じたのは「いつもより楽器の位置が低いな、しかしこれくらい低い方が弾きやすいし、ふむ、楽しい」という事だった。右腕はある程度伸び切っている方がピック弾きが90%以上を占める僕にとっては弾きやすく(逆アングルピッキングを意識した方が出音は良いのかもしれないけれどもその気になったらSBVはストラップを角に引っ掛けて楽器の位置を高く出来る→この日記の写真参照)、また興奮した状態でのピッキングも安定している実感を得た。
左手の運指に関しては僕は自分を舐めていた。数センチ変わったくらいでは体のバランスを調整して(右足を前に出したり体の姿勢次第で楽器の演奏性というのは簡単に変わるものだ)演奏に対応出来るし、実際に難を感じる事はなかった。それよりも楽器との距離感が適度に開いた事でいつもよりベースを振り回しやすく、興奮が身体、そして演奏にダイレクトに繋がる感覚があって「うっひょー楽しい!」とアドレナリンを出しながら演奏出来る事の恩恵を感じた。

さて、普段よりも楽器の位置が低いと書いたけれども、果たして本当にそうだろうかとその日のうちに妻と娘が寝静まった後にベースを2本持ち出してストラップの長さの比較をしたのであった。近年では一番長く設定していた初号機のストラップよりも尚、弐号機のストラップは長くセッティングしてあったのであった。とはいえ楽器の重さも違うので果たして無邪気に初号機も楽器の位置を下げて良いものかと試してみたところ、なんだ全然問題ないじゃん。
傍から見れば恐らくこの数センチは見た目上、何ら変化がないであろう。しかし主体である演奏者にとってこの差は大きい。体と腕が楽器と触れ合う面積や腕の伸び具合で演奏性はかくも簡単に変化するのだ、と改めて実感し戦慄した僕は折角のこの機会、感覚だけでなく(感覚なんていうものは時に時間の経過で変化するものであるからして)具体的に数値で記録をとっておこうと決意した。


ストラップを伸ばした状態で初号機、弐号機ともにストラップの穴の中心から反対側の穴の中心までの長さを測ったところ、133.5センチ。
ストラップはいずれも革なので楽器を下げた際は多少伸びるのかなと思うけれども、数値を記録しておく事で一つの指標にはなるであろう。
そして諸々の記録は僕の記憶のバックアップである日記に書きつけるのが一番なのである。