どうして俺は今日の話題の中心になるであろう画像を残しておかなかったのか?

いつもは導入めいた事を書こうと思って相応に本題に入る前に書いたりもするのだけれども、今日は唐突に本題である。
そしてあらかじめおことわりしておくが、本日のブログにはいつにもまして中身がない。一言で言ってしまえば「社員食堂の天麩羅蕎麦が旨かった」で済んでしまう。
「社員食堂」や「天麩羅蕎麦」という単語に何かしら引っかかるものを感じた貴方。オーケイ、きっと貴方の暇潰しくらいにはなるだろう。

仕出し弁当を利用する支店もある中、僕の勤務する支店はそれなりに大きな(この区では一番大きいはずだ)規模になるので幸いにも社員食堂がある。
社員食堂。そうだ、社員食堂である。とても甘美な響き。基本的にはそこで働く者しか立ち入る事を許されない、その場所特有の(大抵は安い)飯が食える場所である。大学時代は学食を食べ歩き、それなりに学食文化を堪能した僕はしかして大学卒業後、家族経営の楽器屋勤務だったので社員食堂という文化に触れる事が一切なかった。代わりに僕が触れたのは仕出し弁当、あれは旨かったなあ。漆塗りの弁当箱を開ける時のワクワク感が良いんだよ。
というわけで社員食堂という文化に僕が生まれて初めて触れたのは、現在の仕事に方向転換してからだった。勤務初日、課長に連れられて訪れた社員食堂で食べた豚の唐揚げ、あの感動は忘れられない。
決して、そう、決して上等な油を使っているわけではないのが伝わってくる、粗野で、しかし気概は伝わってくる豚肉の唐揚げに繊細さというレールで語るには少し路線が違う味噌汁。そう、これが僕の職場の社員食堂初体験である。

それ以降も僕は多くのメニューを社員食堂で食べた。
我が社員食堂の天麩羅はそんじょそこらの天麩羅に負けない程、いや、お惣菜屋のそれよりかは遥かにサクサクしている事を知ったしカレイの姿揚げ煮は180円とは思えないハイクオリティである事も知った。恐らくは業務用の汁を用いたうどんも何故だか繊細な味がして旨いし、味噌ラーメンに関して言えば本当に落ち着く良い味だと思う。夏場に出てくる冷麦は値段の割に量があるし、ざるラーメンは酸っぱいつけ汁が巷で食べられる所謂「つけ麺」なんかとは全く違った角度から攻めていてとても旨い(今まで食べたつけ麺よりも僕は社員食堂のざるラーメンのが好きだ)。卵を二つ使ったハムエッグは目玉焼きの下に隠れたキャベツの千切りも相まってしっかりおかずとしてボリューム感がある。発熱しながら食べたあんかけうどんは味はよくわからなかったけれども、食欲がない中でも胃袋にしっかり収まった。じゃこおろしに酢をかけて醤油を減らす、という方法は社員食堂で教わった。カレーは基本的な「食堂のカレー」で安心出来る。
まだまだ食べていないメニューがあるので、何を隠そう僕は毎日社員食堂ではテンションが上がっている。

何故ここまで我が社の社員食堂について熱く書いているかというと、それはもう今日食べた天麩羅蕎麦が旨かったからに尽きる。
えび天そば、と銘打ったそれはしかし名前に反して立派にかき揚げものって270円、異例の安さも嬉しいが何よりつゆにひたされてもホロホロニ崩れないえびの天麩羅と、その油が染み出したおつゆの旨さに感動させられた。天麩羅蕎麦にホロホロ感を求めるかサクサク感を求めるかは人によって大きく違うだろうけれども、僕は基本的にはサクサク感を求める。
味的に、よりも印象として哀しいじゃないか、折角のえびの天麩羅がだよ、衣がホロホロになってえびが剥き出しになっちゃって、っていうのは。それが好きな人がいるのは認めるけれどもさ。
で、社員食堂のえびの天麩羅は崩れなかった。まずそこに感動。しっとりしつつも天麩羅然としたそれをかじって蕎麦をすすって、一唸り。かき揚げは適度にホロホロになって、その油が溶け出したおつゆをすすって二唸り。
決して派手さはない、けれども、しみじみ旨い。
そんな一杯だった。
おつゆに溶け出した天麩羅の油が、照明を浴びてキラキラ輝いていた。節電の関係か少し寒い食堂も、胃袋の中からじんわり暖かくかんじられた。

社員食堂、最高。
我が社の社員食堂、大好き。

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