ベース・シンセサイザーの思い出。

昨夜はツアー明けという事でフラフラせずに大人しくしていた。

ここ最近はじっくりと取り組めていなかったポケモンに時間を費やしたり(遂にワタルを撃破!チャンピオンになったぞ。カイリュー倒すの苦労したなあ)納豆カレーを食べたりしていた。納豆カレー、ここ数年の間にハマッた食べ物の一つなのだが、そのうちエントリーにまとめたいと思う。

で、少し前にスタジオに持って行き、ツアー前のボード構築の際にその辺に置きっぱなしになっていたペダルをじっくりと触ってみる事にした。
友人の飛田君というベーシストがいるのだけれども、彼は「Perfumeを人力で再現するのが目標だ」と宣言する程ベース・シンセサイザー・ペダルに惚れ込んでいる。彼のブログを見れば彼がどれだけ苦心して理想のべーす・シンセ・サウンドを追い求めているのかが理解出来る。僕もそれなりに興味のあるペダルは試してきたけれども、彼の探究心にはかなうわけもなく、今やベース・シンセサイザーならこの人、専門家、師匠として密かに崇めている。

そんな彼をして「エクスプレッション・ペダルを接続する事でWhammyにも勝るとも劣らない」と言わしめたのがコレ、BOSS SYB-5である。

続・我が逃走
BOSS SYB-5。
こういうエフェクターは原音とのバランスが大事。

「エレクトリック・ベースのサウンドをシンセサイズする」、そのために作られた、そのためだけに存在する純然たるベース・シンセサイザー。マルチエフェクターに入っているそれとは音色の種類もパラメーターの自由度も比較にならない専用機である。しかしBOSS社のSYB-3は「トラッキングが悪い」「反応速度が遅い」と憂き目を見る事になる。代わりに、世ではAKAI PROFESSIONAL社の「Deep Impact」というベース・シンセサイザーが持て囃され、それが生産終了していた事も相まって価格が高騰する。

大学時代、当時はまだ一介のエフェクターだったそれがどんどん値段が高騰していく様というのは圧巻だった。中古エフェクターコーナーで偶然それを見つけた僕は今思えばありえない価格でそれを購入した。当時は今からすれば考えられない値段でDeep Impactが出回っていたのだ。楽器というのはそのご時勢、風潮で値段が変わる。そう考えると僕が偶然なり好き好んでなり手にしてきた楽器(YAMAHA SBV然りDeep Impact然り)が価格高騰前に入手出来ていた事は幸運としか言いようがない。おっといけねえ、話が逸れた。

で、一躍Deep Impactにその座を奪われてしまったSYB-3。それもそのはずだ。相手が悪過ぎた。Deep Impact、僕も一時期愛用していたけれども本当に良いベース・シンセサイザーなのである。

ドイツの科学者(一説によると相当にマッドな人らしい)が提唱したという独自のピッチ検出理論、それを採用して開発されたDeep Impactはピッチ検出が相当に早く、演奏者の演奏にスムーズについてくる。そして9種類のプリセットからなるサウンドはどれもが興味深く、1~9の数字で表現される各パラメーターのコントロールで音を追い込んでいけば「使える」サウンドが手軽に出力出来たものだ。そりゃあ、皆欲しがるよ。

僕も結局前述の飛田君に売ってしまったものの、それなりの愛着を持ってDeep impactを機材棚に陳列していたものだ。

そのDeep Impactが脚光を浴びる傍ら、歴史の中に埋没しかけたSYB-3、その後継機が本機である。トラッキング速度は向上し、エクスプレッションペダルを接続する事で表現力は増した。最新技術を導入した事による音色も魅力的な文字通りBOSS社の最新鋭ベース・シンセサイザーの登場であった。

で、僕はこれを購入、そのエグみを、鋭いシンセ・サウンドを楽しんでいた。実戦投入もちょくちょくしていたものの、レギュラー入りする事はなく少しずつ機材棚の膨大な海の中に埋もれようとしていた。

フィルター・エフェクトやベース・シンセサイザーは俺には不向きなのだ。俺には歪みしかない。性能を活かしきれない自分にそんな言い訳をしていたのだろう。実の所、SYB-5の鋭いベース・シンセ・サウンドは歪みエフェクトに負けはしない攻撃性を有している。踏む事でフレーズにもインスピレーションを与える悪くないペダルではあったのだ。

そして飛田君の「エクスプレッションペダルを~」発言で好奇心を刺激された僕は何の気なしにこいつを弄り始めたというわけだ。注意深く、そして慎重に、集中し、そして頭を使って。

数分後、そこにはSYB-5に夢中になっている僕がいた。

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