封じられた右耳と12年ぶりの(一方的な)再会。

妻が鼻からカメラを入れるというので付き添った。
とはいえ、流石に検査中に付き添うわけにもいかなかったので病院についていって、待合室で待つのみである。
検査を終えた妻が、やはり少しグッタリした様子で診察室から出てくる。鼻からカメラを入れるのは口から入れるよりかはしんどくはないらしいのだが、それでもやはり違和感が凄いとの事。そりゃあそうだろう、鼻も喉もそういう風には出来てはいない。
妻の病院を終え、次は僕の耳鼻科行きに付き添って貰う。
少し前から右耳の外耳というのか、耳たぶの一部が腫れており触ってみると水だか血だか、中に溜まっているような手応えである。右耳を下にして眠ろうとすると、頭と枕に挟まれた右耳が痛むのでどうにも億劫だ。寝返りを打つにも気を遣う。
というわけで実家近くの耳鼻科に妻とテクテク、散歩がてら歩いて向かった。きっと探せば自宅近くにも良い耳鼻科はあるのだろうけれども、小学校低学年の頃に学年の乱暴者に右耳を殴られて行ったその病院に、他の耳鼻科よりも親近感を感じているのは事実だ。昨年左耳の鼓膜に大きなゴミがついて気になって仕方がなくなり、取りに行って貰いに20年ぶりくらいに行ったところ、以前の診察記録が残っていたのか「貴方は平成〇ン年ぶりね」と言われたのも驚きと同時に妙に嬉しかったというのも今回足を運んだ理由の一つであろう。あそこもここも、と足を運ぶ場所は増やしたくない派の人なのだ。

耳鼻科は、滅茶苦茶混んでいた。
オンラインで順番待ちの予約をしたところ、待ち番号が50番を超えていた辺りで嫌な予感はしたのだが、花粉症もこの季節、どうも混みあっているようであった。待合室で待ち、診察室に通されてからも待った。
いよいよ巡ってきた診察の順番、僕の右耳はどうも格闘家がよくなる状態のようで、内出血をして血が溜まっているそうである。やはり、血か。手応えに偽りなし。
注射器で血を抜き、圧迫しつつテーピングしましょうという事になった。


思っていた3倍くらいしっかりテーピングされてしまった。
こうなると右耳は完全に塞がれたも同然である。
流石に「今日ライブなんですよ」とは言えなかった。

そう、この日は夕方から今池HUCK FINN入り。
鈴木実貴子ズAnalogfishのツーマン企画。
平日の、しかも遅めの入り時間という事で割とゆったりと準備してから向かう事が出来ると思っていたのだが、病院等々で思っていたよりも時間を食った。
右耳が完全に封じられての演奏は、違和感こそあったものの、敏腕PAナべちゃんのお陰で楽しむ事が出来た。少し前から演奏中にマスクを外す事を自分に許しているのだが、折角マスクを外しても右耳が覆われていたんじゃ顔のどこかに白い布っきれがついているのは変わらない。
Analogfish先輩は流石の演奏。下岡さんとはK.Dハポンでのツーマン以来となるが、やはり優しい素敵な方。音楽に対して誠実な方なんだろうなあと演奏を拝見していても思う。Analogfishのライブ、大変良いライブだった。音楽に色々な感情や丁寧さ、誠実さが結実するというのは素敵な事だなあと思う。
MCで耳にしてびっくりしたのだけれども、何と12年ぶりのHUCK FINNとの事。という事は前回のHUCK FINNでのAnalogfish、僕がi GOでサポートをしていたこの日以来という事で何たるご縁であろう。
楽しくて続けてきただけなのに、時折こうやって自分の活動歴がそれなりにある事に気がついて愕然とする。
長く続けている事はそれだけで素晴らしいわけではないけれども、悪い事というわけでもない。何かを続けていくのは一瞬で美しく成るのと同じくらい価値のある事のはずだからだ。それでも僕みたいなのが結構それなりに活動続けているというのは驚いてしまうよね。