吉田君が言った。「ジャックダニエルの社長はウイスキーの出来が悪くて樽を蹴ったらそれが原因で死んだらしいですよ。へー」

時間の経過はかくも早いものか、と少しずつ暖かくなってきた昨今、痛感している。確か少し前までは毎日「寒い寒い」と言っていたはずなのだが。
3月18日、この日はパイプカツトマミヰズにてくみさん企画@金山ブラジルコーヒーに出演。
関東よりやってきたプログレバンド曇ヶ原のレコ発企画名古屋場所、我々とツーマンであった。

昨年末のナンプラーちゃんとワッペリンとのスリーマン終演後、「格好良かったです!ジャンルはなんですか?」とライブ会場で吉田君に声をかけて下さったのがくみさんだったらしい。吉田君、軽い気持ちで「プログレっす」と答えたとの事で、まさかその返答が、それだけが原因ではなかろうけれどもこうして出演へのお声がけに繋がるってんだから、やっぱりライブは面白いし人と関わっていく事は楽しい事である。

オファーを頂いて曇ヶ原をチェックした吉田君、そのバッキバキなプログレっぷりにあてられたのか、「18日はこれをやります」とメンバーのグループLINEに送られてきたセットリストが新旧難しい曲、複雑なキメが曲中に織り込まれた割とプログレッシヴなセットリスト。
滅茶苦茶意識してるんじゃん!
久しぶりに雇われメンバーとして伊藤誠人君が召集されたとはいえ、この半分笑いながら半分はサービス精神で対抗意識を燃やしていく吉田君の性格、大変に素晴らしいと思う。
プログレというのが音楽ジャンルではなく精神性だとするのであれば、完成のままにリフを繰り広げたりする、リフのコラージュめいた曲達は紛れもなくプログレバンドの曲であろうと僕は思っている。

普段よりも長めのセットリストかつ、緊張を少しでも解くために当日も練習スタジオにて練習を行ったのだけど、練習後そのままブラジルコーヒーに向かうと、随分と早く到着した事もあってブラジルコーヒーはまだ喫茶店営業中。
程なくしてアンプの運搬の為に別行動だった車組も到着。リハーサルを先にされる曇ヶ原の機材量的に、一気に皆で店内に突撃すると混乱しそうであった。そのため運営判断で暫時、お店の前の路上待機。
少しだけ肌寒い瞬間もあったので交代でコンビニに突撃したりしながらその時を待つ。


ブラジルコーヒー前に並んだ機材達。

入店して曇ヶ原のリハーサルを見、我々のリハーサルとなったのだが吉田君が(多分確実に思いつきで)突然「ドラムセットを前に出したい」と発言。
僕らボランティアメンバーには何の権限もないので吉田君と駒田君が納得しているのであればそれは現実のものとなる。
ただ想定外であったのがドラムセットが動いた事で、配置場所的にベースアンプが駒田君の耳の真横に来、このまま演奏していては遠くない未来に駒田君が爆ぜるのは明らかであった。
微妙な角度を調節し、どうにか駒田君の憤死も免れたところで、リハーサル終了。
やはり爆音過ぎて何が何やら、であるけれども本番はまあきっとどうにかなるさとデンと構える事にしたのであった。
本番も必死に食らいついてる間によくわからないまま終わったのはまた別の話。

演奏終了後はアンプをスタジオの貸し倉庫に返しに行く為に駒田君と2人で会場を一旦、後にした。
曇ヶ原のライブを観たいのはやまやまであったが、誰かがこれをやらねばならぬ。駒田君と2人、奔走した。

会場に戻ると曇ヶ原がアンコールに応えるところであった。良かった、全く拝見出来ないというわけではなさそうだ。折角プログレバンドと共演なのだ、演奏を観るのがリハーサルだけだなんて寂し過ぎる。
なんで広大で耽美的なプログレッシブロック!
この日、吉田君がMCで「大槻ケンヂが『プログレは演る奴も聴く奴もどちらもモテない』と言っていた」と雑学を披露していたけれども、これを聴いてモテないなら俺は特段モテなくても良いやと思った。