映画『スタンド・バイ・ミー』

続・我が逃走

映画『スタンド・バイ・ミー』を視聴。

今まで何度観たかわからない映画で、恐らくそういう人は多いのではないだろうか。僕の記憶の中でこの映画を観た最初の鮮明な記憶は母方の祖母の家に泊まった時のもの。お風呂にも入ってパジャマに着替えた幼い頃の僕は、真っ暗な部屋の中で横になりながらこの映画を観たのだった。

人は「この映画は二度観ると良い。子供の頃と、大人になってから」と言うけれども、別段その効能を感じたりはしなかった。郷愁や哀愁に襲われたり、幼い頃の眩い光景を思い返して涙したりしなかったのは、きっと僕がまだ子供なのか或いはこの映画と僕の少年時代がリンクしなかったからではないか、と思っている。

「12歳当時のあの頃のような友達は、二度とできないだろう」と主人公が少年時代を振り返っているが、僕の12歳、小学校6年生当時はどんな友達と何をしていたのか、これが面白いように記憶があやふやだ。

小学校当時は気難しくて他人との距離感を測りづらい子供だったような気もしているが、それもどうだか。兎に角、『12歳当時の友達』というのが僕には思いつかない。友達らしい友達はいただろうし、相応に楽しくやっていたのにパッと思い浮かぶ名前が一人もいない。

中学校の頃の記憶となると流石に少しは鮮明になってくるのだけれど。

そんなこんなだから僕が『スタンド・バイ・ミー』を観て感慨に耽るのはもう少し先の事になりそうだ。所謂『少年期』を学校に通っていた頃と大まかに括れる頃合になれば、きっとこの映画を観て友達と秘密基地で遊んだり学校帰りに話し込んだり卒業式で合唱したり友達と喧嘩したりその友達と仲直りしたり生徒会室で遅くまで行事の準備に励んだりした事を思い返して、一括りにした『少年時代』に涙を流す事ができるのではないかと思っている。

それにしてもこの映画の瑞々しさといったらない。ふとした瞬間瞬間が美しさに溢れている。

リバー・フェニックスが演じているクリスの大人っぽさ、誠実さ、そしてひたむきさも人間の美しさを想起させられる。少年達一人一人が親近感を感じさせ、観ているとついつい微笑んでしまうような映画だ。

恐らくは原作者スティーブン・キングの幼年期が投影されたこの(原作小説)映画、恐らく今後も名作として語り継がれていくのだろう。

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