母の手料理。

22年間生きてきて、やっと気づいた事がある。
うちの母は料理が旨い。

学生時代は夜まで友達と遊び呆けていたかったので外食が多かった。ラーメン、ハンバーグ、ファーストフード、各種ファミレス。色々なものを口に放り込み、咀嚼し、飲み下して味わってきた。
だが、大学を卒業してからそうもいかなくなってきた。オトナになるには何かと金がかかる。節約せねばならないので夕食を家でとるようになった。毎日食べてみるとフナハシ家の食卓は母による創意工夫に満ちていた。
肉と魚が毎日交互に出てきたり、リクエストをすると結構高い頻度で応えてくれる。

いつしか、夕食を自宅でとる目的が変わっていた。
節約から、単純に夕食が楽しみになっていた。

昨夜は煮込みハンバーグだった。帰宅後、夕食がそれであると聞いていた僕は空腹を抱えてニヤニヤする。まだ僕が家でご飯をよく食べていた頃から好きなメニューだったからだ。
で、ハンバーグを食する。愕然とした。昔より、うまくなっていないか?
つい賞賛が口をついて出る。母は満足気に微笑み、調理方法を説明してくれた。想像していたよりもずっと手間がかかっているし、こだわりに基づいて作られていた。

外食はいい。友人達とラーメンを食らうのは最高だ。
だが、自宅の、家庭の味を忘れてはいけないのだ。望んでも食べられない一人暮らしの人や、忙しくて食卓でゆっくりご飯を食べる時間のない人と比べれば僕は何と贅沢なんだろう。

今夜は炊き込みご飯。

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