近鉄に乗って鈴鹿へライブを観に行ってきた話。

7月21日(土)の事である。
農村 の暫定最後のライブを観に、三重県鈴鹿市にプチ遠足した。

農村のメンバーと初めて喋ったのって何年前だかの大晦日だったと思う。新栄CLUB ROCK’N’ROLLのカウントダウンパーティーに不完全密室殺人で出演、演奏を終えた僕達はあーでもないこーでもない、今年はお世話になりました来年も宜しくだなんて言いながら車に機材を積み込んでいると後ろから突然声をかけられた。
振り返るとビールか何かを片手に持った若者二人が立っており「凄く良かったです」と演奏を褒めて貰った。それどころかそのうちの一人、小柄な方の若者は「音源ありますか」と親しみやすい笑みを浮かべながら音源購入の意思表示をしてくれ、僕はそれに若干驚きながらも一枚千円のアルバムを売ったように記憶している。あれ、声をかけてくれたのは駐車場でボーッとしてる時だったかな。何にしてもライブハウスの外だったのは間違いない。
一度でも遊びに来られた方ならおわかり頂けると思うのだけど、大晦日の新栄CLUB ROCK’N’ROLLはお祭だ。普段はそんな事しないバンドもカヴァーだったりポジションチェンジをしたり、酒気を帯びて演奏したりと無礼講的なニュアンスがある。お客さんもそれをわかった上で普段よりリラックスモードで楽しんだりしていて、でも不完全密室殺人に関してはコピーバンド大会だった3回目の出演(RAGE AGAINST THE MACHINEをやりました。ちなみに神田君は子供が生まれたばかりだったので家族と過ごすため実家に戻っており、ドラムは当時ROCK’N’ROLLのスタッフだった堀さんが叩いてくれた)以外は毎回特にリラックスする事もなく、気負っていたように思う。
僕達からすると、普段自分達の演奏を観る機会のないお客さん達が大勢集まっている場所では大晦日といえども絶好の機会だ、とそういう意識が無意識のうちにあったのかもしれない。毎回面白い事を追及するあまり悪ふざけが過ぎるバンドではあったので、対外的には違和感はなかっただろうけれども「やっちゃおう!」という意識はあった。物販スペースはないので音源が欲しい方はメンバーに声をかけて下さい、とMCで告げたものの、この日のお祭ムードとアルコールも相まって、そういう方は少ないんじゃないのかなと何となく思っていた。そんな中で声をかけられたのが本当に嬉しかったのを憶えている。

農村との出会いについて書いていたはずが自分の思い出話になってしまったけれど、その後ライブハウスやスタジオで出会ったりしているうちにドラムの松田君が「これ僕達の音源なんですけど、良かったら聴いて下さい」と一枚のCD-Rをくれた。
聴いてみてたまげた。農村、凄く好みだったのだ。

初めての農村のライブを観たのは彼らの企画である 。遠方の友人も来ているし(比較的近場の)友人のバンドも出ているし、農村もやっと観る機会を得るってなわけで出掛けていったのだけどこの日の演奏も非常に良くって荒削りだけど攻め込んでいくっていう気概が音にも出ていて「ああ、この人達とは仲良くなりたい」と思った。今記憶を新たにするために当時のエントリーを読み返したのだけど今となっては一緒に演奏する機会もある松田君に対して「いつかお手合せ願いたい」って書いてるのは面白いもんだなあ。

続・我が逃走

で、話を現在に戻す。
会場である鈴鹿Livehouse Poohは近鉄平田町駅前のカラオケボックスの一階に併設されており、入口もカラオケボックスと同じ。入って正面にはカラオケの受付があり、この日のイベント「NOBIROCK 」主催のノビ太さんが受付にいらっしゃらなかったらそれとわからない程、ライブハウスという名のそれとギャップがあるというか、カラオケとのコントラストが凄かった。肯定的な意味で異空間だった。
カラオケとライブハウス。カラオケと練習スタジオっていうのは使った事もあるけれど、こういうのは初めてだ。でも僕はこういうの大好きなのである。インディペンデントって、こういう事なのかもしれないとも思う。日頃フロアより少しステージが高くなって、防音も音響もしっかりしているライブハウスで演奏する事が多い我が身だけど、こういう場所ってより肉体的な感じがするっていうのは言い過ぎですかね。メタルラックに組んだ、恐らくは当日運び込んだであろうPA機材に大きなパーティールームといった感じの一室のLivehouse Pooh。けれどもそこでガーンと鳴っている音はここ最近耳にした音の中でもかなり衝撃的、暴力的に格好良かった。あの環境っていうのはバンドマンにとっても、恐ろしく魅力的なはずだ。腕が鳴る音が聞こえるよう。

会場の音の広がり方も相まってかこの日の農村は凶暴だった。ドラムも生音がダイレクトにとんでくるしベースアンプからも雷みたいな音がしていたしそれに負けじと闘うギターも、そして歌もキレていた。今日で最後、一区切りっていう気迫、良い意味でのピリピリしたライブだった。別段本人達がそこまで気負っていたかって言われるとそれはわからないけれども、原田君、森川君、松田君の三人は間違いなく良い演奏を、テンションの伴った演奏をしていた。負けてられないなあ、と思う。

農村の3人、お疲れ様でした。今後も宜しくね。

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