『心臓の騒音 特別編』

バンド活動とは自分にとっては一体何なのか、と時折考える。
趣味、自己研鑽、ライフワーク等々、色々な物言いは出来るだろうけれども「やらずにはいられない事」である事は間違いがない。言葉は不便だ。いや、不便なのは僕の語彙力か。
こうしてアウトプットした瞬間に本質から一歩遠ざかった気がする。

当たり前のように繰り返してきた演奏行為=ライブも新型感染症の蔓延により当たり前のようには出来なくなった。多くのバンドが解散した、或いは活動を止めた。
そんな中でも僕が(勿論対策は万全にした上で)楽器を弾く事を辞めなかったのは、一つは自宅で弾いてデータを送ったりする方法を仲間と試行錯誤した事と、何より大きいのが鈴木実貴子ズのサポート活動があった事だろう。

状況に応じて参加する/しないを選択する余地を残して尚、それでも弾く機会を与えて貰える事は嬉しかったし自分のモチベーション向上に繋がった。
格好良い事ではないだろうけれども未だに演奏前に度々口に出して伝えてしまう。
「今日声かけてくれて有難うね」と。

自分でバンドを立ち上げるでもない、作曲して演奏陣を集めて演奏するでもない、一人で音楽を作ってはみても実際に人前で演奏する機会がない、けれども人前で弾く事で背筋が伸び、その演奏を主な戦場(いくさば)にする僕みたいな演奏者は、そうでもなければ演奏する機会を失ったか大いに減らしてしまっていただろうから。
そして何より素晴らしい音楽に貢献出来る喜びはそのバンドで演奏する事でしか得る事が出来ないのである。

2022年7月3日、鈴木実貴子ズは名古屋CLUB QUATTROにてヒグチアイさんとツーマンを行った。
場所がどこであろうと演奏する内容は同じだ。演奏するメンバーそれぞれのバイオリズムが合わさってアンサンブルとなるが故に、いざ始まってみるまで出来不出来はわからない(これが演奏行為の一番面白いところでもある、と感じている)、これも同じ。それでもやっぱり気負ってしまうものだよ、不慣れな場所では。
気負った結果、悪くない演奏だったと実感している。


写真家のUWABO KOUDAIさんが演奏中の僕の写真も撮って下さっていた。
有難くも頂戴したのでここで自慢させて頂く。
シャツにアイロンをもっと丁寧にかけておけば良かったな。演奏で思う存分やらかしたので、まあ、良いか。