9月になった。まだ暑い日が続く。
8月後半頃から毎日のようにベースギターを弾いている。いや、いくら兼業バンドマンといえども人様の前で演奏する以上は研鑽のためにちゃんと毎日練習しろよという厳しいご意見は主に自分の内側から聞こえてくるのだ。
最近は特に色々な研究も兼ねて自室で音を出す/練習する機会は多かったのだけれども、それでも平時よりもずっとベースギターを抱えてあーでもないこーでもないと練習するようにしていた。何故か。
9月6日のこの日、人様の前で演奏の機会があったからである。
事の発端は7月上旬、楠本さん(NOVELS)から「生誕イベントを今年も開催するので力を貸して貰えませんか」と連絡を頂いた。
去年の9月の楠本さん生誕イベントといえば人生でほぼほぼ初めての公開セッションならびに人前での筋トレ、そしてNOVELSの曲を差プライズ披露する為に毎日練習した事まで諸々の思い出がまだ記憶に新しい。
セッションの合間合間に気楽にお喋りしつつ進行したのだが、人前に出た事で興奮してついつい楽しくなって喋り過ぎてしまったが故に「あー楠本さんのファンの皆様方からしたらきっと俺の存在はノイズでしかなかったナァ」だなんて反省さえしていたのだけれども、まさかの再オファー!
しかも楠本さんの話によると生誕イベント参加者の方の声に依るものであるとかないとか。やった!ノイズだったけど悪い意味のノイズじゃなかったぞ俺!
というわけでまさかの再び、楠本さんの生誕イベントにベースギターを抱えて参加する運びとなったのであった。
さて、楠本さんによって策定された進行は「セッションを披露するよ」よりも「皆で楽しく過ごそうね」時間が多く昨年よりもアットホームなもの。去年の雰囲気が楽しかった舟橋的にはオールオッケーかつ(セッションなんてやった事ねえぞ好き勝手弾くとなると本当にあれだぜいやはやセッションの文法的なの学んでおけば良かったよ全く1年経っても成長のない男だと思われるぞうんぬんかんぬん)という腹の中の声も静かになろうというものだ。
しかしながら去年はサプライズ的に仕掛けたNOVELSの曲の演奏、今年は事前に「2曲程やりましょう」という事になった。
間違いなく集まった皆さん大歓喜なこの演奏、注力しないわけにはいかないのだがここで問題。
舟橋、タブ譜のこの上ない信仰者なのである。
NOVELSの楽曲は幾つかバンドスコアもあるものが多いのだが「やりましょう」となった曲はコード譜こそあるものの(ある曲にして貰ったのね)バンドスコアは存在しないようであり、耳コピを余儀なくされたのであった。
俺は自分の耳は信用しない、タブ譜しか、信用しない!
どうしたものかと思案していると「1万曲のタブ譜がパート別に採録されているアプリがある」と聞いた。
その『songster〇』なるアプリを早速インストールしてみると成程、あの曲この曲もパート別にタブ譜が掲載されているではないか。今時は便利だねえと思いつつNOVELSの楽曲のタブ譜があるか調べてみる。
ちなみにこの一連の行動は楠本さんには何も言わずに行っている。恥ずかしいから。
NOVELSの曲は存在するものの、今回演奏する曲のタブ譜は無!あっちゃあ!
しかしながらこの『songster〇』、月に980円支払ってサブスク登録する事で「Youtubeのリンクを貼る事でその楽曲のタブ譜をパート別に生成する」「生成されたタブ譜を印刷出来るようPDF化する」機能が解禁されるのであった。
1ヶ月980円か、するする!課金する!
藁にもすがるつもりでサブスク登録してNOVELSのPVのリンクをコピー、『songster〇』にペースト。
しばし待つとタブ譜が生成されてきた。
『songster〇』のAIはとても優秀だ。生成されてきたタブ譜、曲を聴きながら読んでいてもかなり肉薄しているように思われた。
少なくとも今回の演奏の指標とするには十分過ぎる代物だった。有難う『songster〇』。お陰で楠本さん生誕イベントで悲惨な時間を過ごさずに済む。
舟橋、毎日のようにタブ譜に向き合う時間を重ねたのであった。
本番当日数日前に今年もドラムを担当する伊藤専務と2人でスタジオに入って練習をしたところ「お、良いんじゃないのこれ」となった。この日まで毎日のように緊張感を感じながらベースギターを弾いていたので、ようやく「当日が楽しみだ」とモードが切り替わったのであった。もう少し自分を信用しても良いんじゃないのかな、と今となっては思っている。
あー結構長文書いてるね。今回の日記、楠本さんの生誕イベントの思い出を書くつもりがほとんど「耳コピが出来ないのでアプリを使ってタブ譜を作って貰ったよ!」な日記になってるな畜生。

さていよいよ当日、である。
前夜はパイプカツトマミヰズの練習→吉田君を岡崎まで送り届ける→帰宅というサイクルを経ていたので起床すると既に体がバキバキである。年齢的に無理を重ねる事でちょっとずつ負荷を感じるようになってきた。筋トレへの影響が懸念される。
しかしながらそれでも行かねばなるまい、生誕イベントの為に。
ベースギターとペダルボードを抱えて地下鉄で会場入り。
簡単な音出しをしつつ、NOVELSの曲を初めて3人で演奏。
楽曲を作るところから参加しており、曲に対しても恐らくは並々ならぬ思い入れがあるであろうバンドメンバーの本人を前にAIが生成したタブ譜を元に練習し、何なら難しいところは簡単にしちゃったベースラインで許して貰えるのかなと戦々恐々としていたのだけれども優しい楠本さんは「良いですね」とOKサイン。
有難う『songater〇』。君のお陰だ。どうにかなりそうだ。
準備を終えると何だかんだですぐさま開場時間である。今年も続々と全国から集まってくる生誕祭参加者の皆様。
「やっぱり楠本さん流石だねェ」だなんて伊藤専務と話をしていたけれども、こういう企画を設けてファンの皆様に楽しんで貰おうとするその楠本さんの人柄あっての事だよなとも思った。ギター演奏も格好良くて人柄も良くて顔面もイケメンで筋トレも出来るってなったら生き物として俺の数段上をいってるよ。俺が闘えるとしたら音圧とゲイン値くらいのものではないか。
そんな事を考えていると開演。
セッション曲はやっぱり今年も「これで良いのかな」と思って弾いている間に終わってしまった。
セッションの定石とかルールとかもっと知っておけば色々コード進行を動かしたりも出来るだろうに、ほとんどワンコードセッションである。自分の語彙力の無さたるや、と思いつつ楠本さんや伊藤専務の演奏に食らいついていく姿勢でどうにか乗り切った。
慣れない事はするべきではない、と思いつつそれだけではない収穫がある時間である。感じるものが多ければ多い程に、慣れない事はするべきであると再確認。
昼時になったので休憩時間。
美鈴さん(会場となった大須はHOPE MUSICの2階で営業するバーNOZOMIYAでお店に立ってらっしゃる。神田君(ex.不完全密室殺人)の配偶者であり、20代の頃から舟橋を知る人である)の作って下さった「筋肉に良い」タコライスを皆で食べ、食後はケーキで楠本さんの生誕を祝う。ケーキがまた綺麗で可愛いケーキなんだ。
筋トレクイズ(何故か去年の倍の重さのダンベルが用意されていた。〇す気、なのでしょうか)では何故か右腕より左腕の方がダンベルを持ち上げる回数が多く、本当は利き腕は左腕なんじゃないのかな僕と思った。
ダンベル持ち上げてバッキバキになった腕で演奏したNOVELSの楽曲、腕に負荷を感じながらも練り上げてきたものを披露せんと一生懸命演奏した。曲が始まると楽しくなって一心不乱にピッキングしたけれども、この「人様のコード進行/ベースラインを演奏する行為に対して手前の興奮によって曲の再現以上の意味が自分の中で出来上がる瞬間」は演奏行為に際して感じる初期衝動の中でも純度の高い感情の1つだと思う。
自身のバンド活動だけではなかなか感じる機会の少ない興奮であるが故に、この機会に感謝。
改めて楠本さん、お誕生日おめでとうございました。
僕に出来る事がもしあれば、是非ともまた!