BOSS DSD-3を安価で手に入れてホクホクしている。

日記を書く順番が時系列とは前後してしまうが、娘の保育参観があった。
普段娘が保育園でどのように過ごしているのか目の当たりにする事が出来、かつ日頃娘の様子を見て下さっている方々ともお話出来る良い機会だ。一時間程の短い時間ではあったが大変有意義だった。娘は率先して絵本もお歌も手遊びもおままごとも楽しんでいるようだった。1歳と4ヶ月ながらお友達もいるようだし、どうやらお友達にも好意的に接しているようで娘は娘ながらに感じるものがあって人と関わっているのだと再確認出来た。
全くもって子育ては同時に親の成長である。

保育参観のために有給休暇を取得していたのでそのまま隣の幼稚園に出勤する妻と別れ、娘と車で出掛ける事にした。ちょっとした日常的な所用と手配していた恵方巻を購入しに出掛ける以外は大した用事もなかったが、実家にも寄る事が出来たし良い平日休みだったと思う。
色々と出掛ける中でリサイクルショップにも立ち寄った。最近はローインピーダンス受けの軽量かつ小型のボリュームペダルを探し求めているのだが、妙に機材類が充実している某店舗を覗いていなかったな、と思い出し近くを通りかかったので寄ってみたのであった。
果たしてローインピーダンス受けかは定かではないが軽量かつ大変安価なボリュームペダルは見つかった。ZOOMブランドのもので「この価格なら好みでなくても痛手ではない」と思える程安価だったので迷ったのだが、結局僕が欲しいのはBOSSブランドのものだと冷静になって今回は見逃す事にした。
というか、それよりももっと目を引くものがBOSSのコンパクトエフェクターコーナーに陳列されていたのである。

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BOSSのデジタルサンプラーディレイ、DSD-2(ないしは3。これらは品番こそ違えども中身はほぼ同じで機能的にも差がないそうだ。2を発売した後により安価に作れるような部品が確保出来るようになったものの価格改定するわけにもいかず、新しい品番として発売したというBOSSブランドの律儀さが感じられる逸話が知られている)はいずれは手に入れたい一台であったのだが、DSD-3がなんと3300円(税込)で売られている。少し前にこれのジャンク品が2500円程で岐阜県のリサイクルショップにて売られているのを見かけたのだが、こちらは完動品。状態も悪くなさそうだしこの価格は間違いなく安い。
ここで一瞬浮かんだのは妻の顔である。我が世帯はお小遣い制ではなく申告制で、欲しいものがある時は互いに承認を取り合って買い物をするようにしている。財布が一つなので勝手な買い物はそのまま世帯を滅ぼしかねないわけなのだが、特に僕が蒐集を趣味として自覚するようになった頃からことエフェクター購入に関しては妻にプレゼンテーションを伴った事前承認が必須となっていたし、プレゼンテーションの内容如何によっては承認が下りない事もあった。そりゃそうだ、道楽で家計が圧迫されてはたまったものじゃない。
経験上、リサイクルショップでの出会いはほぼほぼ一期一会である。特にこの店舗は楽器、機材類が充実しているので好事家達が頻繁に出入りし陳列棚を舐め回すように見ている。実際僕が「うわ!DSD-3だ!」と静かに興奮している間にも作業着姿の男性が隣で歪みペダルを吟味していたし楽器コーナーの回転は特に早い。
娘を抱いたまま迷う。
どうする、承認を取る時間はない。

頭の中で妻の最近の買い物を並べ立てる、等している段階で心は最早どのようにして今から自分が行う行為を正当化するかしか考えていない。これくらい買っても良かろう、幸い今はちょっと余裕があるしガソリンを入れる程度の金額だ、俺は酒も煙草もやらないし嗜好品はサウナくらい、それに妻も最近欲しかった服を買ったetc.。買う事を正当化するための理由には事欠きはしない。こういう時の僕は恐るべき狡猾さを発揮する。
かくして僕はその手に「いずれ買うリスト」の比較的上位に記してあった品物を安価で手に入れる事が出来た。買った直後の高揚感はこの買い物が正解であった事を告げていた。

というわけでBOSS DSD-3である。
デジタルサンプラーディレイ、というわかりやすくいってしまえばデジタルディレイにサンプラー機能をつけましたよというブツなのだが、これを今わざわざ探し求めて買う人はコレクターか変わり者じゃないだろうか、と思う。デジタルディレイとして音質こそ悪くないものの、もっと多機能かつ高音質なものが後継機種でガンガン出ているしではサンプラー機能はどうかと問われると流石に発売したのが30年以上前、0.2秒から0.8秒の時間しか録音出来ずなんなら後継機種のデジタルディレイの方がルーパーとして使うのであれば録音時間が長い。
では何故わざわざこれを買ったのかと言われるとサンプラーの録音モードと別に再生モードが搭載されているからである。
これは録音モードで録音したフレーズをペダルを踏む度に再生してくれるモードで、つまり「ドゥーン!」という音を録音した後に再生モードでペダルを連続してガ、ガ、ガンと踏むと「ドゥ、ドゥ、ドゥーン!」みたいな音が出せるという事。ちなみに踏み続けるとフレーズを自動的にループして再生してくれる。その場合は「ドゥーン!ドゥーン!ドゥーン!」となる。
録音したフレーズはエフェクターの電源をオフにする=アダプターとか抜いてしまうと消去される。本当に簡易的なサンプラーとして扱える、この気軽さが大変魅力的だったわけだ。ハーモニクスとかスライド、特殊奏法で出した変な音とか録音しておいて気軽に再生するのは即興的に使いやすいだろうし、効果音としても面白いだろう。0.8秒ってのがどれくらいの時間かわからなかったけれど実際に録音してみると思っていた以上に長いぞ0.8秒。
ちなみにフレーズ録音後に再生モードにして録音時間=ディレイタイムのツマミを触ると録音したフレーズのピッチも変わるのでこれがまた面白い。
本機の後にちゃんとした(と書くとDSDに申し訳ないが)ルーパーを繋いでさらにサウンドオンサウンドすれば、これ結構面白い事できちゃうんじゃないのと思った。
あと期待していた以上にディレイとして格好良い音が出る。ショートディレイでバッキバキにかけてやるとわかりやすく金属的な音が出てこれまた格好良かった。早速白線の内側のライブで使ってみた。
安価で買えたのは勿論嬉しかったが、想像していたよりも面白い機能を持ったペダルだったのが何より大収穫。

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娘の可愛い写真を添えて買った事をメールで詫びようとしたのだが、まさか写真を撮る瞬間に娘が泣いちゃった、という一枚。

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