tc electronic T2 あまりにも独創的なリバーブペダルを買った話。

昨年の暮れ頃の事になるのだが、リバーブペダルを買った。

日記、備忘録を兼ねているこのブログに2ヶ月以上もの間それについて書いていなかったのは2つ理由があって、一つ目は僅か数人でも人が見る可能性が(しかもその数人はインターネットという大海原を検索エンジンを使ってここまで漕ぎ着いた可能性が高い)ある以上、エフェクター についての所感はある程度以上僕自身がそのペダルについて慣れてから書いた方が良いのではという思いがあるからで、二つ目は単純にもうこれ、何て書き記すべきかわからないという程このペダルが個性的だったからだ。
通常、僕はどんなエフェクターでもバンドの練習スタジオ等に持ち込んで大きな音量でアンサンブル中でどう鳴るのかを実感として得、そこから音作りを進めたりしていくのだけどこのペダルはそれ以前の段階、購入して自室(過去に何度か書いてきた押入れを改造した1/2畳の狭い部屋だ)に持ち込んでヘッドフォンで鳴らした段階でたまげてしまった。
いや、実際僕はすっかりたまげてしまった。
行きつけの中古屋の店頭で鳴らした時も一発で気に入ってしまったのだが、自分の慣れた環境で鳴らすといよいよその音に参ってしまったのだ。

その音はあまりに陰鬱で美しかった。
同時にアンサンブル中で存在感を滲ませる程度に使うには主張が強過ぎた。このペダルをバンドサウンドの中で使うにはこのペダルを使う前提で曲のアレンジを進めなければならない、とまで思った(実際その後、白線の内側用に曲のきっかけ、断片のようなものはこのペダルを用いて作った)。そのペダルを用いる曲や瞬間はどのバンド、どのプロジェクトでも存在しない。それであるが故にこのペダルは今のところ僕が自室でその音の美しさに酔い痴れるのが主な使用用途になっている。そのうちどうにか現場で鳴らしてやりたいと思っているのだが。

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tc electronic T2はそんなリバーブだ。
仰々しい紹介になっただろうか。あまりにも大袈裟に書いているとそう思われるだろうか。これでもこのリバーブペダルの仰々しさやその壮大さには引けを取る。

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好事家達の間ではT2は「主にぶっ飛び用のリバーブペダル」として知られている。無理もない、搭載されているリバーブの音が尽く超個性的、良い意味で融通が効かず、作り手の「ほら!この音!この音良いでしょ!!!これ良いよね!これで使って!!」という自信が漲っている。「薄らかけて空間を感じさせる」だったり「ソロの時にかけて色気を足す」というようなリバーブの一般的な使い方はこのペダルでは得策ではない、というか出来ない。リバーブのかかり具合は調節出来るがかかっているとわかる程度にかけてやるとエフェクト音の主張が強過ぎるしうっすらかけようとするとそもそもこのペダルの旨味が失われる。やはりこれだけ音が個性的なリバーブ、しっかりわかりやすくかけてこの美しい音を押し出したくなろうというものだ。
あ、tc electronicお得意のトーンプリントが出来るからそこに綺麗目なリバーブ入れておけば一気に多様性ある、守って良し打って良しの万能リバーブに早変わりする。そういう使い方は今のところしてないけど。

音が全体的に綺麗目というよりかはダークで個性的な方向にチューニングされているので、これで陰鬱なアンビエントとかノイズに味付けするとかそういうのがとても楽しいし、捗るペダルだと思う。ペダル自体に強烈な個性があるので使い手を選ぶかと思うけれど、好きな人は絶対に好きなリバーブだと思う。

美しい残響音はそれだけで音楽足り得るのだ、と再認識させてくれた一台。

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