重ねていくしかあるまい。

2020_02_08_001
2月4日は吹上 鑪ら場にて白線の内側のライブだった。写真は亜矢子(いとまとあやこ)さんが撮ってくれたものだ。
平日の演奏は久しぶりな気がする。仕事を特にトラブルもなく終えれば普通に移動してもよっぽど演奏時間に間に合うというのに気持ちだけ急くのは毎度の事。こればっかりは慣れやしない。

この日の共演はいとまとあやこ、川﨑レオン(バンド編成)。どちらも凄腕だった。重ねてきた戦歴を見せつけられるような思いだった。
いとまとあやこはライブの進行こそリラックスして人となりが滲み出る、良い意味でくだけた雰囲気だけど演奏はバッキバキ(という擬音が相応しいかはわからないけれど)だし音の広がり方はそれこそ宇宙を感じる。
川﨑レオンバンドは恐らく単身でも十二分に強靭であろう川﨑さんに加え、これまた凄腕で百戦錬磨とはかくあるべしと言わんばかりのサポートミュージシャン2人のトリオで、五弦ベースを巧みに操るベーシスト氏の演奏に「こんな音出るんだ」と初めてその楽器を耳にしたような感想をつい口に出してしまう程であった。
演奏する人間としてコンプレックスを刺激される事や己の弱さをまざまざと見せつけられる事程良い刺激はない。けれどもかくも鮮やかに叩き込まれると、ちょっと参ってしまう。
自分が理想とする演奏が出来なかった事も手伝って、終演後はすっかり落ち込んでしまったのであった。

白線の内側は決して悪い演奏ではなかったけれども、やはりそれでも収束具合が想定外でないというか「ここまでは出来る事はわかりますよね」的なお行儀の良さというかそういう範疇に収まってしまう演奏だったのでは、と反芻する。少なくともあの4人が集まっているのならばもっと出来たのではないか、と4人を信仰する僕としては思うのである。
4人の実力を単純に足した物以上の成果、そういう奇跡みたいな瞬間を積み重ねていくのが我々、人前で表現をする人間の成すべき事であろうとも思うのである。

自分達を殊更に貶めるわけではないけれど、やっぱり悔しいものは悔しいんだよ僕ぁ!
もっと練習せねばならないと個人練習の足りなさを痛感した夜だった。つまり、良い夜であった。

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