シモ・ヘイヘ「練習だ」

シモ・ヘイヘって有名だからきっとこれを読んで下さってるブログ来訪者諸兄の中にもご存知の方は少なくないと思うのだけど、フィンランドの伝説的スナイパーである。
「スコープ未装着のライフルにも拘わらず300メートル以内の狙撃ならば必中」「自分を含めた32人の少数精鋭で4000人の敵軍から領土を守りきる」「サブマシンガンの名手で狙撃で殺した以上の敵兵を射殺した」等多くの伝説を持ち『白い死神』だなんて物騒なあだ名で呼ばれていたそうな。
そんなシモ・ヘイヘがインタビューで「狙撃のコツは?」と問われた際何と答えたか。彼は一言、こう答えたという。

「練習だ」。

わかってる、わかってるんですよ、バンドマンもそうだって事ぐらい。
楽器や機材は表現のための道具、道具のために道具を買ったってその道具が真価を発揮する事って少なくて(ない、だなんて言わない。そういう経験も幾つかあった)、「自分が必要に迫られて」導入した機材の方が無理なく自分のシステムに組み込まれるし、熟練した腕前があってからこその良い音。音作りに一番必要なのは高いベースギターでもお気に入りのアンプでも気の利いたエフェクターでもなく、『明確にこの音が出したいというヴィジョン』と『しっかりと演奏する事が出来る技術』と『経験値からくる対応力、知識、感性』だったりするんだ。だからまず何よりも僕達は練習をするべきなんだ。練習っていうのは感性を磨く事も含めて練習。ね。
自分がどんな演奏をしたいのかするのか、そしてそのためには何をすべきなのか、そしてそれを成し遂げるにはどのようにするべきなのか今自分に必要なのは何なのか、それを踏まえて楽器を握ると演奏行動は途端に意味合いが変わってくる。

しかし、僕はただただエフェクターを愉しむ事もある。時としてそれが感性を磨く事に繋がったりもする。エフェクターに触発されて演奏技術に磨きをかけようと邁進する事もある。
ただ、時にただただ楽しむためだけに暗い自室でコソコソとエフェクターを繋いでベースを掻き鳴らしたりする。
時にただただ楽しむために中古の安いエフェクターを購入する事がある。
いわば道楽だ。道楽者のところには色々と集まってくる。

2016_09_05_001
Ken Multi MDT-7 DISTORTIONはそんな道楽者の僕に以前友人が進呈してくれたものである。
調べたところ輸出用の国産ブランドだったようである、Ken Multi。何とも癖になる名前だゾKen Multi。口に出して言いたくなるぞ「ケンマルチ」!
音は、そうだね、非常に普通である。特に特筆する事もない「こういう見た目」のペダルから連想する「ああ、こういう音ね」なディストーションである。トーンを絞ればベースでも使えなくもなさそうだけれども、もっと選択肢は他にあると思う。
この実例もあるから或いは、ひょっとしたら、と思ったのだけれども。

友との思い出のためにとっておこう。
そういう素敵な思い出っていうのはとっておくときっと演奏家としての僕の人生を豊かにしてくれるものだろうから。

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