孤独部ワンマンライブに参加した話

今年の初夏からライブハウス作品にベース演奏として参加してきたえんげきユニット「孤独部」のワンマンライブが東山ZOO STATIONで行われた。
「孤独部に関わる人達と、その人達と作ってきたもの、そしてその変化と孤独部の”今”を見せたい」と主宰(とは言っても孤独部自体が今となってはたった一人の演劇ユニットなのだが)のかしやま君から誘って貰って孤独部作品以外にもソロで出演が決まり、同じくソロ出演する事になっていたKANAMORIN=金森君から彼のバンドでベースを弾いてくれないか、とオファーを頂き、合計3枠での出演となった。

結論から書いてしまおう。
今回の孤独部ワンマン、僕はステージ上やそれこそtwitter上では「ワンマンなのに主宰本人がOAでしか出てこない。何故!笑」とか散々言っていたのだけれど、かしやま君は見事に孤独部としてのワンマンをやりきった。それはもう、彼の描いたコンセプト通りに、や、完璧以上に。
かしやま君が孤独部として活動してきた中で出会った人達の作品が彩る会場で孤独部作品と孤独部/かしやま君に関わった人達のライブが交互に”上演”されるという進行で行われたワンマンライブ、終演後に残った印象というのは「孤独部」という表現ユニットの「肌触りそのもの」だった。
出演者の僕がそう感じたのだもの、全出演者通してご覧になられた方はますますその印象を強くされたんじゃないのかな。
演目の合間合間にかしやま君がお客さんにアナウンスを出したりしてはいたのだけれども、それでもああいう方法論で「孤独部としてのワンマンライブ」をやり遂げる事が出来るっていうのは孤独部自体が今までその時々関わる人達から受けた刺激を貪欲に(勿論愛情と敬意を忘れずに)取り込んで変化し続けてきたからこそだし、そこに自覚的であるからなのだろうと思う。
やり方として長尺の作品を一本やるなり、それこそ今までの作品を立て続けに上演する事も出来た中で、かしやま君が選んだ「孤独部に縁のある方のライブ、そして展示を交えたワンマンライブ」という方法を採った事で孤独部という表現ユニットの現在形をとてもリアルに伝える事に成功したんじゃないかと思う。そしてその現在形が示した孤独部の在り方というか今現在内包している「柔軟さ」と「活力」こそが孤独部が演劇/芝居という表現カテゴリーにおいて特異な点でもあるんじゃないかな、だなんて芝居に関しては高校の頃にかじった程度、最近でこそバンドマンとして劇団に関わったりもするけれども演劇に関しちゃ門外漢以上にはなれない僕は思うのだ。
いや、凄いワンマンライブだったと思う。

さて先程も書いたように光栄な事に3枠分も出演する事が出来た。
はじめは後述するけれども未確認尾行物体。
次はKANAMORIN=金森君の曲を3曲程バンドで演奏した。
そして最後にまだ記憶に新しい「教室」の役者陣と曲が一部入れ替わっての再演。
金森君の弾き語りの後に披露された「KANAMORINバンド」(勝手に命名)は兎に角、金森君、ドラムの松田君(ex.農村)と共にギリギリまで頑張った。そもそも曲が難しい(笑)。7拍子は兎も角8.5拍子なんて初めてだよアタシャ。
深夜に何度もスタジオに入っては拍子を見失い、体に叩き込んではまたわからなくなって(松田君が。彼は変拍子苦手らしい。ちなみに僕はすぐに構成を忘れる。駄目なリズム体だなオイッ!)っていうのを何度か繰り返してのいざ本番。
その頃には曲もすっかり体に馴染んでおり気負う事も気遅れする事もなく演奏出来た。我ながら、それまでの練習と比べても良い演奏が出来たと思っている。まあ、バンド全体としては細かいミスはあったものの(笑)、金森君の良い曲の雰囲気は後押し出来たんじゃないのかなと思っている。
「教室」は関わるようになった当初の曲も織り込まれており、個人的にも相当グッときた。これも良いヴァイヴスで演奏出来たと思う。持ち上げて振り下ろしたベースのボディで自分の後頭部を強打する程、熱が入っていたと言っておきましょう。
さて、3枠の中では一番最初に人前に出る事になった未確認尾行物体。

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僕と、当日の簡単な打ち合わせで即興芝居に参加してくれたかしやま君。後ろにいるのはギター/効果音で参加してくれた河本君(palitextdestroy)。ディレイを使って風の音を出したり、場の雰囲気に合わせて非情なフレーズを弾いてくれたり、彼にお願いして本当に良かったな、と思った。

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今回は宮沢賢治先生の「猫の事務所」を題材として扱わせて頂きました。
「舟橋動物劇団」こと段ボールや新聞紙で作られた動物劇団員達が大活躍!演騒後は皆、お客さんに貰われていった。可愛がって貰えよ。
テーマがいじめを扱った重たいものだから本篇突入前のかしやま君とやった導入部分は出来るだけキャッチーにコミカルにやってみたのだけど、あの人欲しい時に欲しい感じの演技が来るもんだからそれはそれは僕もはしゃいでしまうわけで。良い導入になったし、かしやま君のスキルの高さに鼓舞された。やって良かった。有難うかしやま君。
本篇を読み進んでいけばいく程、皆さんの表情というか雰囲気が硬く、重たくなっていた。そりゃそうだよな、あの内容で(未読の方はこちらから)ゲラゲラ笑える人ってあんまりいないと思うもの。ちょっとテーマが重い、というか暗過ぎたかな、と思う。
それでも普段役者をやっておられたり声優を目指してらっしゃる方々に声と朗読を褒めて頂けて本気でテンションが上がった。
この日はベース演奏も朗読もお客さんに喜んで頂けたようで演者冥利に尽きた。感想をダイレクトに頂けるっていうのは何だろう、自分の自信に繋がる以上に俯瞰的に見た自分っていうのを意識する良い機会になります。

打ち上げはかしやま君ちで鍋を囲む。朝方まではしゃいで、気がついたらソファに腰掛けて眠っていた。
参加者全員、まだめいめい眠っていたので起き出した数名に挨拶して帰宅。
朝方の空気は確かに冷たかったけれども、充足感が凄かった。

かしやま君、ワンマンライブ成功おめでとう、そしてお疲れ様!

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