改めてまざまざと見るとユニークなデザインの筐体、なのである。

『ものの価値はそれの値段では測れない』と信じている。
今メインで使っているYAMAHA SBVも購入時点でそれまでに買ったどのベースよりも購入価格が安価であった。尤もこれは当時僕が働いていた楽器店に生産完了間近の半ば処分価格といっても良い格安で卸されてきたものを購入したからであるけれども(その後半ばプレミア化してSBVの価格が高騰するだなんて思いもしなかった。そしてまさかそんな超お手頃価格で手に入れたベースの、その本体価格の何倍も費やしてネックをオーダーする事になるとも思いもしなかった)、結局僕は値段よりも愛着を優先するタイプなのだ。
けれども同時に、それなりの数の楽器やエフェクターを試してきて『価格が担保するクオリティ』の部分も感じるようになってきた。「安かろう悪かろう」は存在する。勿論、中には驚異的なクオリティで価格に見合わない働きをしてくれる楽器や機材も存在するけれども、それもまた稀有な事。一定以上の対価を支払った方がそのものの質は安定するように感じるのもまた事実である。


Danelectro DJ-14 FISH&CHIPSはそういった意味では非常に『無難』。
エレクトリック・ベースギターをBOSSのGE-7に通してイコライジングするとしっくりくると感じたのは確か20代半ば頃の事だったか。
ベース用のGEB-7より触りたい帯域が積極的に調整出来るという事で「ベースはGEB-7よりもむしろGE-7を通すべきだ」と主張さえしていたのだが、そんなGE-7も金欠で手持ち機材をほとんど一掃してしまった時期に旅立っていった。
FISH&CHIPSは確か、行きつけの中古ペダル屋の安ペダル棚で偶然見かけ「お、触れる帯域がGE-7と一緒じゃん。安いし買っておくか」くらいの感じで購入した記憶がある。GE-7とFISH&CHIPSで触れる1.6kって僕の好きなベースのアタック感を司る帯域に近くて、ぶっちゃけそこが触れれば別に何でも良かったのだが(ちなみに今はToneJobのMidコントロールで1kを突き上げるのが好きだ)、実際に使う時はブーストするよりもカットする方向で使う事の方が多かったように思う。
主に白線の内側で1.6k~6.4kをなだらかにカットして高域のジャキッとした感じとアタック感をくぐもらせるような、そんな使い方をしていた。

筐体が特徴的な形で、かつその材質故か重量も滅茶苦茶軽く、勢いよく踏もうものなら筐体ごと動いてしまいそうになる。ペダルボード内に仕込むよりもボードの外にポンと置いた方が物理的にも、そして気持ち的にも安定した。
オン/オフスイッチが「足で踏むより指で押した方が良いんじゃないか」と思うような手応えだったので勢い良く踏んだ際に誤って動かないようにスライダーもテープで固定する必要があった。爪先でソッと踏む余裕が演奏中にあれば、そんな対策も必要なかったかもしれない。
けなしているんだか褒めているんだか判然としない感想だけれども、それでも購入した時の価格に対して滅茶苦茶使った記憶があるのでモトは十分にとったと言えるだろう。
このガンダムっぽいデザインも気に入っている。色も良い。

ブーストするとノイズがどうかとか、あと効き方の部分でGE-7と比較すると実際どうなのかとか、そういう使い方をしなかったし厳密に比較していないので言及する事が出来ない。しかしボードの比較的先頭めの方で、高域をカットする目的で使用する分には大変重宝した。
何ならこれがあればわざわざGE-7を買わなくても良いんじゃないか、だなんて思っていたりもする。言い過ぎかしら。