改めてBOSS ODB-3をじっくりと触ってみた。


年末のパイプカットマミヰズの演奏の時に久しぶりにBOSS ODB-3を使ってみて、久しぶりにグイグイ歪ませる感覚が楽しくて好印象だったので改めてじっくり触ってみた。

ODB-3といえば僕の世代はRed Hot Chilli Peppersの『Around the World』とかL’Arc~en~Cielの『STAY AWAY』(改めて聴き返すと思っていた以上に歪んでいて驚いた)だったりするのだろうけれども、そのどちらにも特に傾倒したわけでもない僕がどうしてこのペダルと出会ったのか記憶が定かではない。しかして僕も多くのベーシストがそうであるように、エフェクターを使うようになってそう時間を経ずにこのODB-3を手に入れたのだった。
触った事のある方ならわかると思うのだが、ODB-3は『ベースオーバードライブ』という名前に騙されがちである。まるで落雷のような歪みサウンドは切り裂くような高域とドスンとした低域で、最早オーバードライブというよりかは完全にディストーションである。で、そのもんの凄い歪み方に興奮してBALANCEコントロールをグイグイ上げていくと単体ではインパクトがあるものの、アンサンブル中だとなかなか取り扱いが難しい音に成り果ててしまい、結局ペダルボードから外れてしまったというのはよく聞く話だ。僕も手に入れた当初は「歪ませたい」という気持ちが先に立ってしまい、結局アンサンブルに貢献するどころか邪魔をするような音を出してしまった記憶がある。そのうち「BALANCEコントロールは意外にも控えめで良い」と気が付き「過激な音を汎用性のある音に添えるイメージ」で歪ませれば良いのだと理解して、再びペダルボードに帰り咲いたODB-3。
北海道の個人工房でモディファイして貰い、ドライブシグナルのローミッドを個別にオン/オフ出来るスイッチを搭載、3モード切替まで出来る(結局元のODB-3に一番近いモードを使っていたので意味はなかったけれど)ようになったODB-3は僕のメインのディストーションサウンドとして足元に常駐するまでになった。

残念ながら調子が悪くてモディファイしたODB-3は機材棚の中で眠っている。最近使っているODB-3は高橋君(鈴木実貴子ズ)がベーシスト時代に使っていたものを譲って貰った(「高橋君ODB-3貸してよ」「え、使ってないんであげますよ」「いやそれはいかんわ」「いやいいですよほんと」「じゃあ貰う」←サポートメンバーなのかサポートして貰っているのかわかったもんじゃない)ノーマル仕様のものだ。
相変わらずドギャーーンと落雷の様に歪むので楽しいし、パイプカットマミヰズで弾幕を張るように音を重ねなければならない瞬間には大変重宝した。
改めて触ると色々発見がある。
まずBALANCEコントロールはDRYとODのバランス具合と表記的には読み取れるのだが、このDRYが完全にDRYではなく、EQもGAINコントロールも通過した信号をDRYシグナルとして取り扱っている。BALANCEをDRY側に完全に振り切ってGAINをそこそこ上げてやるとオーバードライブしたベースシグナルが出力される。むしろオーバードライブとして取り扱い易いのは、この時。BALANCEコントロールが9時を超えてくると完全にイメージする「あの」音になってくる。
EQはブースト/カット。ものの試しにHIGHをカットしてLOWをブーストすると結構圧迫感のある低域がせり出してくる。EQの効き方は変に癖もなく、わかりやすい音作りしやすい印象。
やはりキモはBALANCEコントロールである。
僕はBALANCEを9時くらいにしてHIGHとLOWを少しずつブースト、GAINは12時というセッティングがお気に入り。うるさいアンサンブル中でも雷のような高域が鳴り響いてアンプとの距離によってはあっという間にフィードバックしてくれる。超暴れたディストーションサウンドをまとわせて、かつベースギターらしい音の芯も確保出来て良い具合だ。
音作り的には結構尖っているけれども、最近のラウドミュージックっぽい音作りもいけちゃうんじゃないのだなんて思ったりもする。