犬栓耳畜生で楽譜を見ながら演奏した話。

祝日29日は鶴舞DAYTRIPにて犬栓耳畜生のライブだった。
実はこの一週間糖質制限をしており(5月1日現在、挫折。ええ、専らの原因はコストがかかり過ぎる、という事でした)「飲み放題イベントなのに糖質制限中だなんて!」と嘆く僕にも鶴舞DAYTRIPは優しかった。鏡月(焼酎)に緑茶のペットボトル。YEAH!これで俺も飲み放題に参戦出来るぞ!!
というわけで出る度に地獄絵図のような最高の空間を楽しめる(皮肉ではない、わりかし舟橋、混とんとしてるのが楽しいタイプ)鶴舞DAYTRIPにて、今回も相当に楽しんできた。
顔合わせの時点から「好きなBIG MUFFはトライアングル期のものです」だの「ラムズヘッドが好きです」だの言い合ったりジャズマスター使用者がやたら多かったり妙にシューゲイザー/オルタナティヴマナーに則ったギタリストが多く集まったこの日、舟橋が楽しくないわけがなかった。

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開演前から犬栓耳畜生 森野君が共演者であるfrenzy cabbageが物販スペースに並べていたお手製のビッグマフ(何でもトライアングル期のもののようである)を購入、物販にエフェクターを並べるバンドマンも最高だけれども買う森野君も最高である。他にも何台か作って在庫を持っているそうなので気になる方は是非frenzy cabbageの物販をチェックされると宜しいかと思います。
演奏も空間を感じさせる「優しい轟音」で良いバンドだった。近しい人達がドラムサポートしたりデザインやったり妙に近かったんだけど遠かったもんだから気になっていたんだよね。この日最大の機材量で機材大好きな人も観て楽しめると思う。
人様のバンドの宣伝までしちゃったよ、話を時系列に戻します。

で、犬栓耳畜生までユラユラと飲んだりしていたのだけど(普段演奏時にはあまり飲まないのだけれどもこの日は適度に弛緩した方が良い演奏が出来る気がしたので飲酒。勿論この段階では糖質を気にしているので緑茶ハイ)、いざステージに上がるとやっぱりアルコールが抜けるというか気持ちが切り替わりますね。そのコントラストが面白かったのでこれからもそういう気分になったらちょっとアルコール入れてみようかな、と思いつつ多分そういう事を重ねる感じではないと思うわ俺。
この日の犬栓耳畜生のコンダクトは僕(注:犬栓耳畜生は毎ライブ指揮をとる人間が変わる。演奏内容も演奏様式も方法論も全てがその人間次第)で、それまで即興要素が多かった犬栓耳畜生に折角なら『規律』を持ち込んでみようと思って曲を書いて楽譜を書いてみた。

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以前も載せたけれども、再掲。
このように演奏開始から経過時間で各演奏者に指示が飛ぶようになっている。指示の内容は具体的だったり抽象的だったり様々だけれども、一度スタジオで練習してみてこの楽譜によって提示される曲群が「せーの、でストップウォッチをオンにする際の僅かなタイムラグによる誤差」と「楽譜の解釈の仕方の差異による想定とそこからの乖離」によって僕が想像していたよりも面白い事になっている事に気が付いた。
しかし生まれて初めて曲を書いてバンドメンバーとシェアするっていうのは、気恥ずかしいものだね。今まで一緒にバンドを組んでいた人達/組んでいる人達はこんな思いをしているのか、と思った。これからはもう少し作曲者に敬意を払えそうである。
当日はPAをやって頂く八木さんに「メンバーのつもりで自由にエフェクトをかけて頂いて良いですしフィードバックノイズとか攻めて貰っても大丈夫です」とお伝えしての5人+1人の演奏となった。八木さんも僕もこういうのを楽しんでやるタイプで、そういう楽しみ方に関しては八木さんはかつて朗読の際にしっかりと演奏して貰ったりと即興でのクリエイティビティに溢れた方である。
八木さん、今回もお世話になりました。

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演奏内容に関してはメンバーそれぞれが立ち位置から録音していたデータを全部集めてミックスして音源作品化する予定なので改めてそれを聴いて振り返ってみようかなだなんて思っているけれども(そこまでしないかもしれない、いやはや気分屋、である)、機材トラブルが良い感じにフロントマン”大島優子似”マリイちゃんを楽譜から解き放ってそれが結果的に演奏にも良い具合に作用したのではないか、とメンバーと話をしたりした。お客さんの評判も上々で、舟橋は今まで味わった事のない喜び、すなわち「作曲者の喜び」を味わう事となった。演奏者の喜び、とほぼ同じであるけれども、少しだけ自分の作品に責任を感じたりもしていたので報われた気がした。いや勿論演奏は皆で作り上げたものだったのだけれども。今回のライブのお陰でバンドマンとして少しだけレベルアップした気がしたものである。

演奏後ますます良い気分になって緑茶ハイは進み、耳はどんどんおかしな具合になっていった。
轟音が「ッシャー ッシャー」にしか聴こえなくなったのである。それでも全バンド、そのライブのダイナミクスに興奮したし、適度に記憶もおぼろげだ。全く、完全に楽しんだという記憶しか残っていないというわけである。

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