結果的に活動再開、白線の内側。

この日は同人誌『最高の三十代 〜Perfect SAN-JU-DAI〜』の発売記念イベントが吹上鑪ら場にて開催。
全寄稿者、それぞれ何かしらの方法で作品を作っては自演したり発表したりする人達ばかりなので、こういう公演となると出演者には事欠くまい、とは思ってはいたが、想像を上回る充実っぷりというか、多様っぷりであった。
大人の文化祭ノリ、というと聞こえは軽く感じるかもしれないが、この機会に「やってみたかった」も含めて全ての表現欲求を満たさん、とそれぞれが臨む姿も印象的なのであった。

個人的にこの日一番「やべえな」と思ったのが駒田君であった。
パイプカツトマミヰズのドラマーとして一時期はリズムセクションを組み、最近は僕のパイプカツトマミヰズへのサポート参加によりまた一緒に演奏する機会が多くなった彼だが、この日の駒田君はドラムを叩いたのはほんの一瞬、けれど出演は3組分するという圧倒的な活動量であった。
実際、当日を迎えるまで「過労死するんじゃないかな」と気になる程、どうやら立て込んでいる様子だったけれども当日はしんどそうな様子もなく、参加した各プロジェクト(白線の内側で僕は出演したのだけど、駒田君a.k.aチリアクタにも何曲か参加して頂いた)でそれぞれのキレっぷりを見せつけるタフさもあらわになったのであった。
チリアクタでは全出演者をラップで紹介するという格好良さも披露。個人的にはバラエティが良い意味で豊か過ぎるこの日の出演陣も、チリアクタa.k.a駒田君の活躍によりイベントとして一本筋が通ったなと感じている。

僕はこの日、白線の内側で演奏。
白線の内側としての活動は大変久しぶりになった。コロナ禍に於いてオンラインでのやりとり等々を試してはみたものの、しっくり来なかったのが原因かそれがそのまま継続するでもなく、正直言って「あー、このまま自然消滅なのかな」と思っていたり、した。
自然消滅、苦手な事象である。きっとあのままの状況が続けば遅かれ早かれ、僕がしないにしてもいずれメンバーの誰かがバンドとしての終焉の口火を切ったのではなかろうか。つまりそれくらいバンドとしては死んでいる状態であったものの、今回の企画に出演するために自然と、我々は活動を再開する事となった。
そして久しぶりに4人がその面を突き合わせて演奏した時に僕が感じたのは「これはまだやれるぞ」という実感であった。
活動を再開した事をSNSに発信するとすぐに反応してくれた旧知の中のブッカーがいた。これは遠くない未来にそのうちにまた日記に書く。そうしてあれよあれよとこの日の次の演奏も決まり、バンド「白線の内側」は一回こっきりの復活ではなく活動を再開する事に、ぬるりと決まった。
ぬるりというのが我々らしいじゃないか。

で、一回こっきりじゃないんだし、という気概が皆にあったかはわからぬが、ブランクを取り戻さんと定期的な練習を経て、我々はステージに立った。
こういう日だ、折角なのでとチリアクタ氏に2曲ゲスト参加して頂き、廃墟文藝部の斜田章大氏に一曲歌詞を書いて、いや、提供して頂いた。「キラーチューン」という歌詞。
我々はエモーショナルとはどういう事か、という命題と対峙する事になった。

大変久しぶりの演奏であったが出来は良かったと思う。
バンドとしては息を吹き返した。
これから筋トレを重ね、強靭になっていかねばなるまい。


この日の機材全景。
鑪ら場据え置きのアンプに「どうせオンオフするペダルはリバーブぐらいだろ」という事でペダルボードを組むでもなくエフェクターは床に直置き。
それでも十分良い音がした。