鈴木実貴子ズワンマン@扇町para-dice。キャプテンモルガン最高だな、と気付いた夜。

鈴木実貴子ズ バンド編成で大阪は扇町para-diceへ。
この日の演奏を以て僕は年内のライブ納め、しかも久しぶりの演奏とあっては気合も入ろうというものだ。

遠征先では大体リハーサル後に会場近くのサウナを求めて街を歩き、本番前に汗を流して水風呂でキメてコンディションを整えるのが在りし日の慣例であったが、ここ最近は遠征自体も少なかったしこの日はワンマンという事でリハーサルから開演まで割と時間もなく、では大阪に向かう前にせめて少しでもサウナをキメておこうと早起きしてテクテクと歩いて今池へ。
名古屋市市営地下鉄今池駅から歩いて仕事場へ向かうサラリーマン達(たまたまこの日は僕が仕事休みなだけで、こうも同じ時間帯の行動が変わるのかと少し不思議な気持ちになった)とすれ違いつつ、ウェルビー今池へイン。
朝方のサウナには朝方の顔があるのだろう、この日のウェルビー今池にはきっと平日の朝方だからこそいる人達が思い思いに汗を流し、風呂に入っていた。
1時間コースだとどうにも性急だしここは2時間くらいでどうだろうか、と心に決めていたのだがなんだかんだで1時間コースに収まってしまった。
急いで入ったわけではないけれども、なんだか丁度良い過ごし方をしたら1時間に収まってしまったのであった。

帰宅してペダルボードを組む。
個人的な2021年の大革命はPEDALTRAINの導入だろう。気にはなっていたが新品を買うには二の足を踏んでいたし、何なら妻からも「それは必要なのか」とやんわりと静止されていたのだが中古品を手頃な価格で手に入れる事が出来て良かった。
足元を組み上げる、という行為は演奏に向き合う過程の中では地盤を固める大切な行為だ。尤もこれは、好きだからこそであろうけれども。

集合場所の吹上 鑪ら場は拙宅より徒歩圏内である。
集合時間に間に合うように家を出、遅刻する事なく到着出来た。バンド編成で遠征に行く際は同じくサポートメンバーの各務君が実家より車を借りてきてくれ、それを交代で運転して目的地へ向かう事になる。
帰路は大体食事をして寝てしまう僕は、率先して往路を運転するようにしている。この日も前半戦を運転した。運転を交代してから、すぐに意識を失い、気がつけば大阪だった。昔からどうしても車には弱く、寝てしまいがちである。


行きの車中にて高橋君が撮影。
遠征の最初はお願いして運転させて貰う事が多くなったので、大体席順はこの配置が多い。

久しぶりのpara-diceだ。
この日からステージ前のアクリルの板を取っ払うのだ、と教えて貰った。
久しぶりの県外、久しぶりのライブがここで本当に嬉しい。
ワンマンのリハーサルは複数組の出演のイベントとは明らかにリハーサルの空気感が違う。
どこかゆったりと余裕を持って時間が流れ、しかしその分確実に緊張感が流れている。これがまた、良いのである。

para-diceであるからして、やりやすさや音作りに関しては全く心配していなかった。職人に対する信頼、である。否応にも自分自身のコンディション次第になるのでこれがまた面白いのだが。
ペダルボードを組むようになって音作りにも気持ちの余裕が生まれるようになったな、そういえば。

どうしたってその場所の音というものがあって、実際そこで鳴る音に加えて思い入れの部分でそう感じられる部分というのは多分にある。
そして演奏家は耳で自分達の音を聴きながら演奏する。
したがってその場所の音に演奏家は影響を受けないはずがないのであるが、para-diceでは音楽の波にさえのれば(酷く抽象的な言い回しであるがこれはバンドのメンバー個人個人のバイオリズムが重なって生まれるバンド全体のバイオリズムが関係しているように思える。とても刹那的でとても偶発的で奇跡のような、そう、海の波のようなものだ)より高みへと至れる音がそこかしこで感じられる。演奏家にとってこんなに心強いものはない。
場所自体が味方についてくれる感覚、とでもいおうか。

この日、少なくとも波に呑まれる事は無かったように思えた。のりこなしたかと言われるとそうかはわからないけれど、波を楽しむ事が出来た。
充実した時間を過ごす事が出来た。

演奏後、鈴木実貴子ズの手伝いを通じて顔馴染みになったお客さんと少しばかり談笑して片付けをして、para-diceの皆さんとメンバーが談笑している輪に入って行ったら安井さん(素晴らしいギタリストでこの日は照明を担当して下さった。安井さんが昔されていた8 1/2というバンド、僕がライブハウスに出始めた頃に名古屋でご一緒させて頂いた。つまり近年交流のある方の中で一番僕のバンド活動を最古より知る方という事になろう)が「舟橋君、何飲む」と声をかけて下さった。いつもならソフトドリンクなのだが、この日はつい盛り上がってラムコークを頼んでしまった。
「ストップ、というまでキャプテンモルガンを注ぐよ」と言われよくわからないのでグラスの半分くらいで「ストップ!」と声を出した。しまった、多分これ、遅過ぎた。
「滅茶苦茶濃いぞこれは」と周りもやんややんやするが、いざ飲んでみると滅茶苦茶に美味え。
飲んでるうちに意識がグニャリと歪んでとても楽しくなってしまい、心の奥底に「人に迷惑をかけてはいやしないか」という不安の気配を感じながら滅茶苦茶に楽しいという状態、つまり僕は酩酊状態になっていたのであった。


鈴木実貴子さん撮影。
帰路の瞬間。僕は完全に酩酊している。

帰りは鈴木さんと各務君が運転、ノンストップで名古屋モドリ。泥酔した僕は完全なる役立たずである。
鑪ら場近くの牛丼チェーンにて、深夜の夕食。
普段なら時間を気にするところであったが、なんと気の利いた事に白米の代わりに豆腐を使用した牛丼があったため、ニコニコしながら食べた。この頃には酒も適度に抜けていた。
2021年の演奏納めはとても良い記憶となった。