駅弁は食い逃したが、13年ぶりに天国に一番近いライブハウスに戻った話。

鈴木実貴子ズ(バンド編成)で横浜B.B.STREETに出演する事になった。
前日(というか当日早朝未明)に2人が『鈴木実貴子ズのオールナイトニッポン』のナビゲーターをするために(いや凄い事だよね!)東京入りしていたので移動は各務君と2人で新幹線移動。
新幹線での移動なんていつぶりだろう。パッと思いつくのはこの時で、この時は確か自由席で楽器を抱えて座れそうな席がなかったので大阪から名古屋までの間、新幹線の乗降口の辺りで立っていたのだった。
しかし今回は高橋メンバーによって指定席が用意され、我々2人は非常にヌクヌクと名古屋と新横浜間を移動したのであった。


新幹線の車内販売のワゴンが2023年10月でなくなる、というニュースを目にしたのでついつい買ってしまった、石のように硬いアイス。ずんだ味ってなかなか食べた経験がないけれども非常に美味。
各務君と二人でアイス食べながら「こんなに楽させて貰っちゃって良いのかな」とか言い合ってた。
だって普段だったら名古屋から横浜行くのなんて新東名使っても5時間くらいかかるんじゃないかな。
新幹線なら1時間半だぜ。しかも運転しなくて良いの。最高じゃん。
新横浜からは地下鉄で移動。乗換アプリで色々調べていたので特に迷う事もなく、駅の乗換表示を見ながらテクテク歩く。
乗換の時に「うわ、横浜に来たんだ」みたいな実感が湧いてきて急に楽しくなってしまった。

横浜B.B.STREETは13年ぶりの出演である。
前回はJONNYで出演だったのだけれども、演奏後にB.B.STREETの入っているビルの下でちょっとうだうだした時間とかが記憶に残っていて駅から降りてからも割とサクサク到着する事が出来た。
それにしても13年ぶりって。13年越しに同じ場所に行くという経験自体、多分きっとバンド活動をしているからこその経験だし兄だか非常に感慨深いものがあった。
店長さんと挨拶させて頂いた折にも久しぶりの出演である話になったのだけれども、当時のスタッフさんは誰一人として在籍しておらず、時のうつろいを感じるのであった。何だか、自分も年齢を重ねたというのに置いて行かれてしまったような気分だ。
勝手な男である。


リハーサル後、近くに良さそうな銭湯がある事は調査済だったのでテクテク歩いて向かう。
横浜中華街を横目に、行ってきましたよ、横浜は恵びす温泉。


入店してみて、入店する客の多さにちょっとたじろぐ。
評判の良い銭湯であるから、きっとサウナーが集っているのだと推察。期待が高まる。
浴場から専用の鍵でサウナスペースに入っていく、ちょっと珍しい構成。しかもサウナスペースは2階建てである。2階はミストサウナがあったはずなのだが、入室せず。一階のサウナと水風呂が素晴らし過ぎて満足してしまったのだった。ミストサウナの前が休憩所みたいになっていたのでそこでボーッとはしたけど。
これまで舟橋は「サウナ温度は高ければ高い方が良い。水風呂の温度は冷たければ冷たい方が良い」という考え方であった。
兎に角ハイゲイン、ゲインの高さこそ正義みたいな、まあ演奏と同じ考え方であったのだ。けれども恵びす温泉を経験して考え方を改めた。
サウナは熱い。滅茶苦茶熱いというわけでじゃないけれども普通に熱い。水風呂はそんなに冷たくはない。けれども何故か滅茶苦茶心地良いのだ。丁度良い温度感とでもいおうか、「うっわー気持ち良い!」という感覚でずっと入っていられる。キンキンでない、けれどもぬるくはないという絶妙な温度感。滝のように浴槽に水が流れ込んでいるのだけれども、好奇心に負けてついその滝の裏で入浴。一週目で滝の音が目を閉じると頭の中でじんわり響いて良い感じだったので滝の裏ならさぞかし、と期待したのだけれども、音がデカ過ぎて飲み込まれそうであった。面白い経験であったけど。
小さい声で何度も「最高」と、つい口から出た。ここ数年で指折りのサウナ体験であった。


天国に一番近いライブハウス=横浜B.B.STREETも遠くない未来に移転する予定との事。
移転前に演奏するのもきっとこの日が最後だろう。ライブハウスのフロアからとは思えないような夜景をバックに、記念撮影。
写真の拙さは舟橋の不徳の致すところ。

ベースアンプからのノイズ(電源の関係でどうしても発生してしまうとの事)がリハーサルの際は気になっていたけれども、SONIC YOUTHも「エレキギターを弾くという事はノイズを出すという事だ」と言っていたし、本番は楽しく乗りこなす。
そういえばそもそも13年前はリハーサルの時に「低域がもうちょっと欲しいですね」とその時のPAさんに言われ慌てて調整したのを思い出した。俺は成長する事が出来たのだろうか。
演奏は冷静と情熱の間。『ファッキン・ミュージック』は演奏が始まると一気に鈴木さんと各務君が感情的になる。僕は行ってしまいそうになるのを地に足をつけてルートを刻む事に踏み留まる。この日は不覚にもイントロでオンにしたファズをオフにせずに歌い出しに突入してしまった。

帰りの新幹線の関係でイベント中ではあったが、お先に失礼する。
「どうだったね」「どうだった」と話をしながら6時間程前に来た道を戻っていく。
帰りは新幹線の車内で駅弁を肴にハイボールを飲もうと朝から決めていた。
決めていたのだが。まさかのキオスクが営業終了。ハイボールは買えたものの、駅弁は手に入らず。仕方なし、チーズやらカニカマやら買い込んで新幹線に乗る。
良い感じに酔っ払った頃に、車内販売のワゴンに駅弁が積んであるのを見てしまったのだった。