ELECTROGRVE主催のワークショップに参加した。

先日、名古屋市内はELECTROGRAVEの工房にてワークショップが開催された。
幸いにも参加出来たのでその日記を書く。
工房、とはいったもののワークショップや各種イベントにも対応出来るよう、一部小池さんの手作り(!)にて改装されドリンクカウンターさえ設えられており、完全にイベントスペースといった趣。
ブッ飛んだ音響機器が作られている工房ながら、手作りの木製のカウンターで明るい日差しが差し込むこの空間、好きだなあと感じる。


「設備の関係で開催告知が直前になりました」と小池さんも仰ってたいたけれどもいざ着席して納得、オシロスコープが一人一台用意されており、ここまで充実した設備で開催されるワークショップは他にないのでは、と思わされた。
今回開催されたのは「ノブが二つの信号を増幅する装置」、トレブルブースター若しくはファズであった。今後定期的に開催予定のこのワークショップ、初回という事で実験的な要素もあったのか自由度が高く「ファズ作りたい人!」と問われた参加者の中で挙手する方がいらっしゃると「では個別対応します!」とニコニコする小池さん。
僕はブースターを選択しました。


製作の前に座学コーナー。過去の小池さんが講師のワークショップもお手伝いさせて頂いた事があるのだけど、ただ作るだけではなくこの座学コーナーで知識や「設計者観点で見たこの回路はこうですよ」というお話が聞けるのがまた楽しい。今回はオシロスコープにジェネレーター(信号を発する機械)を突っ込んで、各種信号がどのような波形を示すのか、そしてそれが楽器となった際にどんな印象を与える音になるのかという話。
しかしつくづくも理論の話は苦手である。ふんふん、とその場は納得して聞いているつもりでも「じゅあこうですね」と人に説明する事が出来ない=理論が腹に落ちていない。話を聞いている間はわかったような気持ちになっているのだがなあ。
ともあれ、座学コーナーは聞いていて面白い内容である。何とはなしに未知の領域である電子回路が実体を伴ってくるというか、「ああ、ちゃんと理由があってこういう音になるんだな」という理解を得られる(或いは、得た気になる)。

途中で妻が芝居の稽古に行く(久しぶりに公演に参加するのだ、これは嬉しい)ので娘の面倒をみる係を交代、ワークショップも中座となった。この日はブレッドボードに部品を組み込んでいく手前までいったのだった。
続きは後日、小池さんとマンツーマンで行われた。
ブレッドボード、初めて触ったのだけど滅茶苦茶便利だね。基盤を組む際の実験用のものという意味合いのものらしいのだけれども、ちゃんと組み込んで使えばそのままスタジオとかに持ち出す事も不可能ではない雰囲気。ライブとかでガンガン踏むぞオラ!という風には向かないだろうけれども部品を付け替えてあーでもないこーでもないとするにはまさしく最適である。


そして出来上がったのがこれ。
オシロスコープで波形を見ながらバイアス調整をし、コンデンサーを付け替えてどの周波数が持ち上がるか見ながら組み込みをした。オシロスコープで波形を見、音が出る事を確認したら特に音を出すでもなくそのまま持ち帰った。良い音が出そうだ、というのは何となく理解出来ていた。
だが実際に音を出してみてびっくりした。思っていた以上に好みの音が出た。
参ったな、実験くらいの気持ちで組み込んだのに、こんな音が出るなら是非人前で使ってみたい。ひとまずブレッドボードから部品がポロリンと落ちないように、裏蓋の内側にスポンジを張り付けて部品には圧をかけてある。きちんとはんだ付けした方が絶対に良いのだが、これで持ち出す際の心配も幾分か軽減されようというものだ。

それにしても、たった一つの部品を交換するだけでトレブルブースターからベースでも使えてしまうオーバードライブになるだなんて面白い世界もあったものだ。