何があっても受け入れる、しかし常に前進し続ける気概。

パイプカツトマミヰズの演奏初めは1月9日、新栄DAYTRIVEにて開催された『しんねんかい』というイベントで、だった。
当日会場に詰めかけた沢山のお客さん達、あれは出演バンドの情熱は勿論だけれども、何よりもイベントを企画した若い女の子二人の尽力によるものだったのだと僕は思っている。あんなに人が入ったDAYTRIVEは僕、結構久しぶりだったんじゃないかな。
有難う、そしてお疲れ様でした。


共演したたいへんにんげん 木下さんのブルージーンズモデル(右)と僕のSBV-550。
共演するバンドのwebとかって時間がある時はチェックするようにしているんだけど、そこで木下さんがブルージーンズ使ってらっしゃるの確認していたので当日を楽しみにしていたのね。ブルージーンズモデル、歯切れの良いタイトで素晴らしいサウンド。
YAMAHAのロゴマークが立体になっていたりとギターがメインで作られたという当時でさえもYAMAHAという会社の真面目さが伺えるような真面目な作りで「流石YAMAHAだなぁ」と感心してしまった。あと0フレットなんだね。
しかしこうして見ると同じボディシェイプでもピックアップの位置とか違うだけで随分と違った楽器に見えるな...。
あとやっぱりこの形、圧倒的に女性が抱きかかえていた方が似合う。木下さん滅茶苦茶似合ってたもんな!
木下さんの演奏も良くって刺激的だったけど、この日は良い演奏をするバンドが多くていつにもまして「やったろ!!」という気持ちになりました。

ただそこはバンドでの演奏、「やったろ!」がそのままダイレクトに演奏内容→結果に反映されるわけでもなく。
この日のパイプカツトマミヰズは2016年一発目にして「いきなりかよ」なドラマティックな(良く言い過ぎ、である)展開の連発。
息巻いて出て行ったものの次々と起こるヒューマンエラー(笑)。楽器の音が出ないメンバーもいれば曲順を間違えるメンバーもおり、良い意味でも悪い意味でも予想外の展開が連発する事になった。
こう書くとネガティブな事が立て続けに起こったように思われるかもしれないけれども、決してそうではない。というかそう捉える人も少なくないのは理解出来るのだけど僕はそう思わない。
起こった事は起こった事でそりゃあエラーが起こったその直後にはそれがネガティブに作用するかもしれない、けれども僕は演奏中のエラー(≠ミストーン。音楽演奏が再現でない以上『その瞬間に適さない音』はあったとしても『その曲に適さない音』は概念でいえば存在しないのではないかという考えを抱きつつある。この場合のエラーは機材トラブルや進行上のミス、メンバー間でのディスコミュニケーションである)は大局的に見れば決して悪い事ではないのだと考えている。
何故なら演奏というのは時間の流れとともに常に進行し続けるもので瞬間瞬間を重ねる演奏行動というのは瞬間芸術であると同時に瞬間の積み重ねでもあるからだ。演奏開始から15分でエラーが起きたとする。その瞬間に演奏終了時に於けるその演奏の充足感(演奏者もだが無論、聴き手のものでもある)を推し測る事は誰にも出来ないのである。
何故ならバンドマンはエラーで奮起出来る生き物だからだ。音が出なくなり一瞬慌てたメンバーは次の瞬間にはトラブルシューティングに向かった。演奏は依然、続いている。その時の彼はきっと「音が出るようになったら取り返してやる!」と憤怒していただろうし、僕が信じている表現の力というのはこの逆境に打ち勝とうとする力だ。それはある瞬間に於いては安定した環境の中で表現をする事よりも尊い事なのかもしれない、とさえ思う。
「良い感じだ、このままで」よりも「畜生!今よりも良い演奏を!」の方が良い結果を得られる事が少なくない、というのはバンドマン諸兄ならば身に覚えがあるのではないだろうか。
僕はその、奮起する力を信じてきたしこれからも信じている。少なくともバンド演奏の際は。

バンド演奏というのはかくも、人生と同じような様を呈するのであるなあ。

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