旧い友人に会う。

NYへ音楽の武者修行、というか音楽で食べていくために渡米した中学校時代の友人が一時帰国する、という事で僅かな時間ながら会ってきた。
とりあえず向こうで体験した彼の話で印象深いものを幾つか。

・NYではストリートミュージシャンやストリートパフォーマーに対して、良いものさえ演っていれば投げ銭を提供する土壌がしっかりと出来上がっている。ちなみに彼はストリートで演奏中にアン・ハサウェイを観たらしい。
「滅茶苦茶可愛かったぞ」との事。

・レンタルスタジオのシステムが日本とは違う。向こうでは「音を出しても問題ない部屋」をひと月いくらで賃貸して、それを幾つかのバンドやミュージシャンでシェアする。

・そんなスタジオで真夜中にドラムを叩いていた時の話。トイレに行こうと廊下を歩いていると小脇に聖書を抱えた南米系のナイスガイが話しかけてきた。会話は盛り上がったものの、特にどうという事もなく別れ用を済ませ再び練習。ふと自分のドラムの音の間に変な音が聞こえ練習を止める。どうやら上の階の音が吹き抜けや階段を伝わって階下にいる自分の所へ漏れてきている様子。その音というのが棒か何かで階段の手すりや壁を「神を呪いながら」叩きまくっている音。ボソボソ喋っていたかと思うと突然大声になったりその様子は尋常ではなかったらしい。さっきのナイスガイだ、と確信すると同時に、その時ビルには彼とナイスガイしかいないと気付き肝を冷やしたという話。

他にも色々とここに書ける話から書けないような話まで聞いたのだけど、何よりそれを話す彼の様子が活き活きとしていて向こうでも彼はアクティヴにやっている事が伝わってきて友人として嬉しかった。
今後は向こうで出会ったチェロ奏者と一緒にスコットランドで活動するという。中学校時代から「ドラムで食っていく」と言っていた彼が、国境や時差なんか軽々と飛び越えて活動している様は感慨深いものがあった。
スコットランドは遠いけれども、なに、生きてりゃまた会うさ。2年前もそうやって別れたんだから。
また会おうぜ。

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