文化の家の音楽スタジオで練習した話。

2016_02_08_001
先日、サポートするバンドの練習で長久手市文化の家へ行った。
観劇だったり戯曲講座の申し込みをする友人に引っ付いて行ったりで行った事はあったけれども、バンドの練習で訪れるのは初めてだ。というか、バンドの練習が出来るという事自体を知らなかった。
ここから長久手市文化の家の音楽スタジオの詳細を見る事が出来る。
機材は紹介ページに掲載されている通り。この日練習で入ったバンドはギターヴォーカル、ギター、ベース、ドラムというスタンダードな4人編成の所謂「ロックバンド」だったのだけど部屋の広さも機材も不足なく、どころか快適に練習する事が出来た。勿論「音が大きいので小さくして下さい」みたいな話もなく、むしろ受付をして下さった職員の皆さんはとても丁寧でこちらが恐縮する程穏やかで親切だった。
さてご覧頂ければおわかり頂けるであろう、この音楽スタジオ、物凄く安い。普段音楽スタジオを使っている者からすると18~22時の4時間使って1510円って何事、である。午前9時から17時まで使っても2160円である。一人、ではない、一部屋、の料金だ。
つまり4人なら8時間スタジオを使って一人500円である。一体どうなっているんだ。

市の施設というのはこういう恐るべき安さを実現しているのである。
場所によっては機材がオンボロだったり使用上制限があったりするのかもしれないが、いやあ文化の家は快適でしたよ。たまらなかった。文化的な雰囲気漂う建物の中を歩いて(歩きながら壁に貼ってあるポスターを見ているだけでも面白い。「あ、これ観劇したい奴だな」とか思いながら楽器を担いでスタジオ入るって不思議な気分だよ)出入りするってだけで何だか面白い気分になる。
そう、僕はこういう施設での練習、或いは演奏が大好きだ。バンドマンだからスタジオ、ライブハウスだけで馬鹿デカい音を出していたいわけじゃあない。地球上のあらゆる場所で演奏してみたいし、その場その場に相応しい楽しみ方をしたい。
こういう市の施設を使っていると「普段使っている音楽練習スタジオ」とは違った文化が存在しており、例えば練習スタジオの壁には「アンプのダイヤルをゼロにしてスイッチを切って下さい」と張り紙がある。ダイヤル!何とも愛おしい書き方である。ダイヤル!
あとミキサーが普通の長机の上に設置されているのも愛おしいし、部屋の一角には「備品室」があるのも良い。部屋自体に空調がついていないので暑い時は備品室から扇風機を取り出して使うのだ。
近頃の音楽スタジオは空調は勿論、何なら照明も微妙な調整が可能でいたれりつくせりだ。録音まで当たり前のように出来ちゃう。それが悪いわけじゃないし、むしろ日常的にそういう部屋をお借りして僕達バンドマンは大いに助られているわけなのだけれども、こういう日常の風習とは少し違った場所で練習すると学生時代の「サークルの夏合宿」を連想し、それがまた良いのだ。

サークルの夏合宿!素晴らしい、もう一度繰り返そうサークルの夏合宿!
冬場はスキーリゾートの利用客で溢れ返るであろうホテルの夏場の閑散期を利用しての夏合宿。冬には更衣室として使われるであろう部屋にアンプや機材を運び込み、即席の音楽練習スタジオとした部屋での「心地良い不便さ」にまみれたあの愛おしい時間達。夏の夜の空気を肺一杯に吸い込んで、Tシャツにハーフパンツ、素足にサンダルで楽器担いでスタジオに向かい「俺この後も明け方まで練習だよ」だなんて言いながら準備して飽きもせず同じ曲ばかりを何度も何度も練習する。
スタジオの空き時間には女の子と話す機会はないか伺いながら色々な部屋を覗いたり先輩とお酒呑んだりOBの先輩の話す尋常にならないくらい怖い、サークルに伝わる実際にあった怪談話に鳥肌を立てる。
僕の青春の一ページは間違いなくあそこにあった。
(明け方に狙っていた後輩の女の子を誘い出し散歩に連れ出してチャンスを窺ったり、まあそういう邪な一ページも付録くらいにはその後ろについている。あの子も風の噂によると結婚したようだ。月日は流れる)

話が逸れた。
安い上にそういう「青春の一ページ」の残り香みたいなものまで感じさせてくれて(余談だが名古屋市内にはそういうのを感じさせてくれる練習施設が他にもある。こちらは実際に匂い付である)、いや本当にこういう施設での練習ってたまらないものがある。
丁度同じ日にパイプカツトマミヰズの吉田君から「武豊町に鬼のように安い練習施設があるのだが使ってみないか」と連絡があった。「武豊!?」と思ったけれども普段彼はそこから名古屋の練習スタジオ(舟橋家から自転車で3分)まで来ているのだ、こちらが行かないというのも不義理になる。それにその施設の近くには愛知県一美味いカツ丼を食わせる食堂があるそうなのだ。
それに何より、「安い施設」での練習がたまらなく旬なものであるので是非行ってみたいところである。

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