有給休暇を使って『八つ墓村』みたり楽器屋を覗いたり白線の内側で【件-空断-】企画に出演したり

「シルバーウィーク直前で大変恐縮でありますが、可能であれば演奏の予定が入りましたので時間休(時間単位年休の略)を頂ければ幸いであります」と職場で恐る恐る早退の申請を出したところ、何と「その日は時間休といわず有給休暇を取得して貰って良いですよ」と有難い事になった。
かくして9月18日(金)、僕だけ一足先にシルバーウィークに突入した。

というわけでこの日は栄TIGHT ROPEにて開催の【件-空断-】企画に白線の内側で出演、である。
しかしながら会場入りは17時予定。
朝からフルスロットルで動けるように洗濯物も前日深夜に干しておいた(夜露に一晩とはいえど洗濯物をさらすのは本当は望ましい事ではない)ので、朝一番から僕は自分本位で動ける事となる。
丁度、この日から映画館で『八つ墓村』が公開となる。熱狂的な横溝作品愛好家というわけではないのだが、この日に有給休暇というのも何かの縁だろう、観たい観たいと思っていた作品だったので朝一番の回で観に行った。映画公開初日、しかも朝一番の回に観に行くだなんてひょっとしたら初めての事ではなかったか。
公開後の今現在、そのあまりにホラー要素に全振りした内容から(そりゃあまあ『呪怨』の清水崇監督作品なのだからさもありなんという気もするし、何なら開始早々の描写から(そういう感じの映画ですよ)と明示されていた感もある)賛否分かれる作品であったけれども、僕は大好き。大いに楽しんだ約2時間となった。

『八つ墓村』視聴後、興奮冷めやらぬまま徒歩で大須観音辺りまで移動。
僕は興奮すると兎に角歩いてどうにか落ち着こうとする事が多い。人生で初めて『クリムゾン・キングの宮殿』を聴いた夜もイヤホンを耳に突っ込んだまま2時間近く散歩して気を落ち着かせて、いや、興奮を内に留めたまま肉体を使う事でエネルギーを燃やしたのだった。
しかし何も無軌道に大須観音を目指したわけではなかった。インターネット上の楽器通販サイトで大須の某大型質屋にちょっと気になるオーバードライブがそれなりの安価で売りに出されていると知ったのでいっちょ弾いてみよう(そして具合が良ければ購入しよう)とやって来たのであった。果たしてそのオーバードライブは確かに質屋の楽器売り場の中、ショーウィンドゥに陳列されていたのだがインターネットで見た販売価格より5千円程高くなっており、いやこれは俺の記憶違いだろうかそれとも実店舗と値段が違うのだろうか、いやよもやそんな事もあるまいこれは俺の記憶違いだなあトホホとテンションが下がったので弾きもせずそのまま帰ってきた。あ、ちょっとテンションが下がったので気を紛らわせようと行きつけの中古ペダル屋さんへ顔を出して僕の好みを極めて正確に精密射撃で射抜いてくる姪狙撃手=店員HRSM氏から「舟橋さんこれ弾きましたか」と毎度お馴染みの極めて危険な誘い文句とともに示されたORANGE社のベースアンプのプリを完全再現したペダルを弾かせて貰った。これが滅法良くてやっぱりHRSM氏は危険人物だなと思った。舟橋家の家計を破綻させるおつもりなのか。

帰宅後、この日の白線の内側のライブ予約特典のジャケットを描く。
イメージだけは固まっていたのでいつも通り鉛筆でざっくり下書きをしてボールペンでエイヤッと描いていく。


この日の特典は前回のライブの録音音源を全編そのまま収録したもの。
白線の内側の予約特典は樫山君と僕とであーでもないこーでもないと楽しみながら手を動かして録音したりしてきたけれども、匣庭での活動を始めてからどうにも匣庭での表現と区別化がまだ出来ておらず、予約特典の方で新規録音に2人で臨もうという気にならないのであった。
幸い白線の内側には記録ジャンキーというか自身の活動の記録を当たり前のように残す習慣があるメンバーが複数名いるので(本当は僕もそういうのやった方が良いのは理解している)こと記録音源には困らないのだが、前回のライブ演奏をフルサイズで予約特典にするのは手前ながら大盤振る舞い!という気持ちになる。まあ、過去は過去だしね。
しかしながらこの音源、フロア側でマイク一発で録音したものを相応に編集(by樫山君)して貰っているのだけれども、兎に角ベースギターの音が滅茶苦茶爆音で飛んでくる。ステージの内側つまりベースアンプからの出力は相応に控え目に調整した(つもり)ので、メインスピーカーからベースの音がバンバン出ていたという事だろうか。
樫山君が適度に削ってバランスを整えようとしてくれたみたいなのだけれども、それでも音がグイグイ出てくる。思わずジャケットにコメントを書いてしまった(上記↑写真参照の事)。


17時頃会場入り、程なくしてリハーサル開始。
正直ライブハウスに結構な頻度で常設してあるAmpeg社のベースアンプは苦手以外の何物でもないのだが、それでも前回と今回の栄TIGHT ROPEでの演奏で結構苦手意識が払拭された感がある。
グラフィックイコラライザーはちょっと触ってみた結果、全部オフ。
アンプ側のEQはほぼほぼフラットでBASSだけちょっとブースト気味。


それよりもこの日はEarthQuakerDevices ToneJob(写真↑一番左上)のMidコントロールをいつもより控え目にした。
1kHzをブーストするこのMidを割とほとんど時計でいう3時頃にセッティングする事が多かったのだけれども、前回の録音を聴いて「いやすっごいベースがグイグイ来るじゃん…」と思ってしまったが為にこの日は控え目にする事に。Bassをちょいブーストするのは最近のトレンド。
ベースが前にくる(音抜けが良いとかではなくて距離感的な意味で音が前に出てくるイメージである)感じが好きで3時まで上げていたMidだが、1時~2時の間にする事で適度にアンサンブルに馴染むようになった。指で優しくピッキングすればアンサンブルに馴染み、ピックでガンガンやればピックアタックと一緒に音が前にグイグイくるようなそんな感じを狙って音作りしたのだが、概ね狙い通りの音になっていた模様。
適時調整、ですな最後段のEQは。

リハーサルがトップバッターだったので予約特典音源の準備(というと仰々しいけれどもコピーしたジャケットをハサミで切って不織布ケースに入れていくというシンプル設計)を終えてもまだ尚、開場まで1時間程時間があった。
行けたらリハーサル後にら・けいこ(極太濁流で有名なラーメン屋さん。その通りで所謂二郎系の設計に分類されるであろうラーメン)行きたいなーだなんて思っていたので突入して1000円を券売機に突っ込んで「ニンニク入れますか」「少し、でお願いします」「ハイ」というやりとりを経て着丼。いつもは豚山とかでも野菜マシにせず、野菜が多そうなところでは野菜少しとか頼んでしまう小心者からすると一瞬ひるんでしまう野菜の量だったけれども、いや凄いのら・けいこ。
ガンガン麺と野菜を口に入れても全ッ然飽きない。「あーちょっと疲れてきたなー」みたいな間隔が全く来ないまま気がつけば1杯食べ終えてしまったのね。味が薄いわけでもなく濃いわけでもなく、いや多分ちょっと濃いんだけどくどくないというか。変にしょっぱくもないし食べやすい味だからスイスイ食べ進める事が出来てしまった。
演奏前にゴッツいラーメン食べて大丈夫かな、という気はあったけれどもこの日は基本各出演者50分のロングセットかつ白線の内側の出番は3バンド目。演奏には差し障りはない見込みであった。


トップバッターは主催の【件-空断-】先輩。
実はこれまで何度も企画への出演の打診を下さっていた【件-空断-】先輩。
適当に企画へお誘いされる方じゃないというのも重々承知の上だったので毎回タイミングが合わず忸怩たる思いをしていたのだけれども、今回こうしてようやくお誘いに応える事が出来たので僕も嫌が応にも気合いが入ろうというもの。
いや先輩、トップバッターなんですね!
ステージの前面、フロアとの間に薄い布を張ってそこにステージ上からプロジェクターで映像を投影しながらの演奏&ポエトリーリーディング。ステージに時折炊かれるスモークと相まって【件-空断-】さんの姿も見えたり見えなかったりで、それによって肉体の実在性が希薄な中での演奏となったのだけれども、いやはやそれが良かった。多分狙っての効果なのだろうな、これ。
ステージの上での肉体性をかなぐり捨てて、しかしながら演奏と絶叫は実に記名性のある内容と表現で、これまで見てきた【件-空断-】先輩の演奏の中でも一番内容が直接ぶつけられている実感があった。
故に結構、くらうものがあった。でもきっとそういう表現なのだろうからこれはライブを堪能したという事!

2番手の未明さん、これまで僕の狭い世界の中で見て(聴いて?)きたポエトリーリーディングの中では初めての風合いというか作風というか質感、だった。こう書くとこれまで見て(聴いて?)きた表現をされている皆様方から怒られるかもしれないけれども割と「力強く!」「奮起する!」「しかしながら!」みたいな他人や何より自分を鼓舞するような作風/内容の方が多かった記憶があるのだけれども、未明さんは歴然と「そうであった」というかポンッとその事実を置いている、そこからジワッと広がる言葉というか瑞々しさみたいなものが言葉と音楽、何より声から感じられてこれはもうただの好みの話になってしまうけれども「おッ!いいね」とグッときた。音楽も、そして言葉も拙バンドメンバーの瀬野氏と親和性ありそうだねと思ったら未明氏のバックグラウンドというか趣味嗜好の話を聞いて納得。
また一緒にやりたいですなァ。


写真(↑)はライブを観に来て下さったタカ・カトウ(Hi LeaF/ikoyi)氏が撮ってくれたもの。
この日の白線の内側は普段ライブハウスではなかなか臨む事のない50分のロングセット。
長尺での演奏は今年挑戦したものの、あの時はギャラリーの中、舞台美術の中でという特殊な環境での演奏であったわけで果たしてどうなる事やら、と戦々恐々としていた。やってみたらどうにかなるものだ。むしろ普段より曲間のうつろい等、自分達の気持ちの変化や空気の流れに合わせて自然と余裕を持って描いていけたのでこれくらいの尺があるとまた猶更やりたい事がやれるという実感を得た。
【件-空断-】先輩から終演後「あのクラブでのベースみたいな音どうやって出してたんですか。格好良かったっすよ」とOC-5を使った『-1オクターブのみ出力して低周波でブン殴る』音作りを褒めて貰えて最高に嬉しかった。先輩みたいにDTMちゃんと触ってたり音作りの段階から拘って世界観作ってらっしゃる人にそういうの褒めて貰えると滅茶苦茶嬉しい。報われる瞬間である。
バンドとしての演奏に於いても白線の内側、やりたい事がやれるというかバンドという生き物として機能する/筋肉が動いている実感を演奏中に感じる瞬間が増えた。こうなってくるとバンド活動は猶更、楽しくなってくるね。
一緒に活動を継続しながら各々が研鑽を重ねるメンバーに感謝である。
次の演奏までちょっと間が空く予定だけれども、音楽的に例えるならばその間隔も空白ではなく休符として捉えられる様な時間の過ごし方をしたい。